元バレーボール女子日本代表の栗原恵さん「普段からのコミュニケーションと共存意識が大事」【関東大震災から100年】

(撮影・蔦野裕)

キャプテンみたいな存在が行動で示してくれるのはすごく大事

 そういう時には誰かがリーダーシップを取って、ぐいぐい引っ張っていくほうがいいですよね?
「いいですね。誰かがパニックになった時にみんなが引っ張られちゃうような“どうしようどうしよう”という空気が食堂全体に流れていたんですが、その子の一声から“みんなで降りましょう”ということになったので、そういうリーダーシップ、チームでいうキャプテンみたいな存在の子が行動で示してくれるってすごく大事なことなんだなと思いました。避難する時ばかりではなく、避難先などで食べ物や飲み物の分配をする時もやはり“我先に”となるところを“並んで取りましょう”とか“こういうふうに分けましょう”ということを誰かが示すというのはすごく大事かもしれないですね」

 試合より練習といった準備の時間のほうが多いと思うんですが、その時に課題や目標を共有するためにはどういう活動を?
「チームとして練習の場だけではなく、ミーティングで自分はどう思っているかとかチームはもっとどうしたほうがいいということについて発言することは大事にしていました。みんながどう思ってるかって、意外に話してみないと分からない部分があって。初めて話を聞いて“ああ、この子はこんなふうに考えていたんだ”という部分の気づきがすごく多かったんです。話すって勇気がいるんですが、誰も間違ってなくて、みんながチームを良くしたいと思っての発言なので、声が出やすい環境づくりというのもすごく大事なんだと思います」

 都市生活ではコミュニティー間のつながりが薄くなっています。
「私も隣にどなたが住んでいるかはすべて把握しているわけではないですが、もし何かがあった時に隣の人に声を掛けたり、助け合える環境や、もう少し深くつながりがあれば、いい形で作用できる部分もあるのかなと今気づかされました(笑)」