災害時のエネルギー消失を防げ! 丸の内仲通り地下20m下を通る「丸の内仲通り洞道」【関東大震災から100年】

丸の内仲通り洞道/SUPER TUBE。地下最下部の深さは地下約35m(撮影・上岸卓史)

【丸の内仲通り洞道】

 災害時、深刻な二次的被害をもたらすのがエネルギーの消失。東京都では「災害時の電力不安に強いまちづくり」を推進し、自立分散型電源確保の促進や、エリア一帯に効率よくエネルギーを供給するための導管整備に際する助成やエネルギー供給プラントの建設支援を行っている。

 その一つ「丸の内二重橋ビルプラント」・「丸の内仲通り洞道」は、大手町・丸の内・有楽町エリアのエネルギー供給網の要となる重要施設。

「丸の内二重橋ビルプラント」は従来の蒸気供給に加え、新たに冷温水供給やコージェネレーションシステム発電による電力供給により、有楽町地域のエネルギー安定供給を支えている施設。

 2機のガスコージェネレーションシステムで計2000kwの熱源を作り出すことができ、年間を通じて電力を高効率で製造。蒸気と温熱の併用方式により周囲の建物の異なる需要にも対応可能となっている。

 このプラントで製造した冷温水やエネルギーを地域全体に効率よく供給する大動脈が、2021年1月に誕生した「丸の内仲通り洞道/SUPER TUBE」だ。洞道とは建物と建物をつなぐ地下トンネルのこと。丸の内仲通り洞道はシールド工法で建設された、全長約250m、内径約3.2mのトンネルで、丸の内二重橋ビルから有楽町ビルまでの区間を地下で結んでいる。トンネル内には、電気、蒸気、冷水、温水などの配管や非常用電力自営線などが通っている他、今後は通信ケーブルや雑用水配管の敷設も予定しており、エリアの防災力を高めるとともに事業継続を高める役割も担う。

 洞道が完成するまではプラントからビル経由でエネルギーを供給していたため経由地点のビルが解体されると他のビルへの供給が滞ることもあったが、仲通り地下を通る洞道から直接各ビルへ供給できるようになったことで今後の再開発においても支障をきたすことなくエリア全体に供給が可能となった。洞道は今後も接続延長を計画していくとのこと。

 また、洞道の地下最下部の深さは地下約35m。東京メトロ有楽町線の下を通っている。地下20mより深くに敷設されているため地震の影響を受けにくく、災害時にも優れた耐震性が期待できる。

 エネルギー供給プラントを備え、帰宅困難者を受け入れるスペースを持つ拠点が東京都内にさらに広まれば、都市災害において大きな課題である電力喪失による影響を低減していけるはずだ。

洞道の途中にある立坑。下から見上げると、地上に通じる上部が見える