天然水のラベルに書かれた「ウォーター・ポジティブ」とは?
今年の夏も記録的猛暑と言われるほど暑い夏となり、日常的な水分補給として清涼飲料に手を伸ばし、喉を潤した方も多かったはず。さまざまな飲料が売れる中で、水分摂取の代表格である「ミネラルウォーター」の消費は、今年も例年以上に伸びたそうだ。
「ミネラルウォーター」と言えば、5年連続で清涼飲料市場No.1(サントリー調べ)となった「サントリー天然水」が有名だ。誰もが一度は見たことがある、と言っても過言ではない商品だが、昔からCMなどで見てきた山梨県の「南アルプス」以外にも、熊本県の「阿蘇」、鳥取県の「奧大山」、長野県の「北アルプス」と4つの水源にて製造されており、パッケージには、水源ごとに異なる山並みや植物、鳥のデザインが描かれていることは、ちょっとした蘊蓄だ。
そんな「サントリー天然水」が今年パッケージリニューアルを実施し、ラベル側面に新たに「ウォーター・ポジティブ」という聞きなれないメッセージを記載したのをご存知だろうか?
「ポジティブ」は、訳すと「積極的な」「前向きな」といった意味に加え、「上向きの」「プラスの」などの意味があるが、サントリーによると、この「ウォーター・ポジティブ」 とは、「取水量以上の水を水系に育むこと」を指すのだそうだ。パッケージにも「国内で汲み上げる地下水量の2倍以上を大自然と育み、いのちに届けます。ずっとずっと水と生きてゆけますように。」と書いてある。日本ではあまり耳馴染みがない言葉だが、グローバルに展開するIT企業、トイレタリーメーカーなどでもこのメッセージは掲げられており、それぞれの企業が展開する地域の水事情に応じて、水の使用量削減や水資源を増やす活動など、様々な活動が進められている。
では、なぜサントリーはこのメッセージを「サントリー天然水」のパッケージに記載したのか? サントリーではものづくりに欠かせない「水」を、未来に向けて守り育んでいく水源涵養活動、「サントリー天然水の森」活動に2003年から取り組んでいる。この20年で、「サントリー天然水の森」は全国15都府県22ヵ所、約12,000haまで広がり、サントリーが国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水を涵養している。まさに、この活動は「ウォーター・ポジティブ」であり、今回、より多くの消費者にその活動や、活動にかける思い、また未来に向けて水を守ることの大切さを知ってもらうため、消費者との直接的な接点である「サントリー天然水」のラベルに、メッセージを記載したそうだ。
蛇口をひねれば、当たり前のようにおいしい水道水が出てくる日本では、「水不足」などの水問題を意識することは難しい。ただ、それでも水は私たち人間だけでなく多くの生き物にとって必要な、限りある資源だ。普段の生活の中でこまめな節水を心がける、水を守り育む活動に取り組む企業の製品を購入し応援するなど、私たち1人1人がウォーター・ポジティブな生活を実践していくことも、未来まで水を守り育んでいくために大切なことかもしれない。