江口寿史、初の〈漫画〉展覧会は「オヤジの熱気でむせ返って灰色に」原画約500点展示

 漫画家・イラストレーターの江口寿史が9月29日、世田谷区南烏山の「世田谷文学館」にて『江口寿史展 ノット・コンプリーテッド』(9月30日~2024年2月4日)内覧会の囲み取材に応じた。

世田谷文学館『江口寿史展 ノット・コンプリーテッド』内覧会で囲み取材に応じた江口寿史

 1977年のデビュー以来『すすめ!! パイレーツ』『ストップ!! ひばりくん!』などコミック作品のほか、80年代から現在に至るポップカルチャーの象徴となるイラストレーションで人気を博す江口。『ノット・コンプリーテッド』展は江口作品の〈漫画〉に焦点を当てた初の展覧会となり、原画やイラストレーション約500点、下絵等約20点、創作ノート等約40冊など出展点数約600点を展示する。

「僕はずっと世田谷文学館に憧れていて(展覧会を)やりたかった」という江口。タイトルの『ノット・コンプリーテッド』について「これだけ生きてきて思うことは、生きている限り完成はしないなということ。完成だと思った時点で絶対不満が出てきているだろうし、その意味合いもあってタイトルをつけたんですけど、実際に展示が始まってみて早速不満がいっぱい(笑)」と苦笑い。

「それで、これからもどんどん変わっていく展覧会にしようと思ったんです。最初はそれほど深く考えてなかったんだけど、まさにこのタイトルにぴったりな展覧会になるんじゃないか。来年の2月に閉幕し、完成に近づけたいけど完成しないんじゃないかなと思ってます」と前代未聞の “未完の展覧会” 宣言を繰り出した。

 不満を感じた点を「漫画の原稿を絵として飾っているんですけど “漫画として読んでほしい、このページの次を見せたい” と思っちゃうんですよ。例えば4ページの漫画だと2ページしか飾っていないので “これは4ページで見せたい” という不満が昨日の時点であった」と明かし「単純にいっぱい飾ることにしました」と説明。

「アクリルを発注して絵を入れて、また配置しなきゃいけないので手間がかかるんですけど、その手間を惜しみたくないなと思いました。今回は事前に準備する時間が全然なくて、昨日になってからやっと参加したんですけど、現場に来るといろいろ “こうやりたい” ということがあって。それがやっていて楽しくもあるんですけど、来る人は何度でも来たくなる展覧会になるんじゃないかなと思います」

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