名作歌劇を見事に現代版へコンバート!映画『ラ・ボエーム ニューヨーク愛の歌』を観た!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
10月に入って、やや涼しくなったかなと感じられてきました。あまりに暑いとぼーっとしたり、判断能力が鈍ったりでクリエイティブの面においても悪影響のような気もします。あくまで感覚的なものですが。
ということで11月4日に初日を迎える、ボクらの罪団 第七犯公演『Island-売春島-』の稽古が始まりました。いい稽古ができそうな気がします。多分、今年最後の「俳優 黒田勇樹」になると思いますので、ご興味のある方はぜひ!
それでは今週も始めましょう。
『トゥーランドット』(“誰も寝てはならぬ”のヤツ)とかが、有名な音楽家ジャコモ・プッチーニの代表作であり、100年以上、愛されている歌劇「ラ・ボエーム」を大胆に、そしてとても現代的に、書き換えた斬新な作品でした。
ストーリーは、原作通りの“愛と青春の物語”。原作を知っている人には蛇足だし、知らない人はこっち観てから、いつか海外から歌劇団が来たときに、5万円ぐらい握りしめて劇場に行って人生観が変わればいいと思うので、詳しいあらすじは説明しないとして、芸術に携わる若者たちの友情と愛の景色をひたすら、描いていくのですが、何がすごいって「歌から逃げなかった」。
多分、曲は殆ど原作と同じものを使っていて、そこに現代に変換した部分の歌詞を書き換えて乗せる。
ど頭のシーンに少し日常会話のような台詞があるんですが、それ以外は、ずっと歌だけで”会話”というか“場面”が、進んでいく。
オペラって厳密に言うと(“昔は”かな?)喋ったり踊ったりせずに、歌と演技だけで物語を表現するのがしきたりだそうです。
映画にしようと思ったら「…少しセリフ増やそうかな…」と思ってしまうのがクリエイターの心情なのですが、まったく退かない。更に、ジェンダーや人種なども、かなり多様にした上で物語の本質もブレてないし、そのうえで、全然しゃべらん!
クラシカルな音楽と歌だけで、1時間半ちょいの映画を「観続けられる」って、凄いことなんですよ。ヨーロッパの音楽を歌い上げてるのに、主演、アジア人とか黒人だし。バランスを、1つ間違えたら、崩壊するような綱渡りをやってのけたという印象。
「グローバル」という、表現にふさわしい「どんな文化、環境にいる人」にも伝わる物語に仕上がったのではないでしょうか。
もちろん、原作のパワーも圧倒的なんですが、ラストシーン…。
ぬわああ…言いたいけど、言えない!!
「ああ、現代のアートやエンタメを愛した人が作ったんだな」と、涙をこぼさずにはいられないので、最後まで、誰も寝ないでしっかり観てほしい名作でした。
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23