ドラえもんを生み出した藤子・F・不二雄氏の「生誕90周年記念事業」がこの秋からスタート。新刊マンガ、ゲーム、実写ドラマなど続々

小説家の辻村深月氏(左)とドラえもん初代担当編集者の河井常吉氏(右)がトークセッションを行った

 2019年に公開された『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の脚本を務めた辻村氏は「私にとっては聖書の続きが書けないのと同じ形で“そんなことをしてしまっていいのか?”という気持ちがあって実は一度お断りした。なんですが、その時に気づいたのがドラえもんの映画の歴史はみんながドラえもんのことが大好きで、ドラえもんを聖典の聖書だと思っている人たちがそのドラえもんの続きを大事に大事にバトンをつなぐようにしてきてくれたもののバトンが自分のところに来たというふうに思ったので、次につなげるお手伝いができたらうれしいなという気持ちでした。先ほど『のび太の地球交響楽』が発表されて、来年の3月につなげることができた。春の風物詩としてドラえもんの映画があるというのは当たり前の環境ですが、決して当たり前のものではないということは書いてきた立場からすると思うので、すごくうれしいし、やってよかったと思っています」などと語った。

 この日のイベントには一般のファンも参加していたのだが、河井氏は最後に「連載が始まってもなかなか人気が出なかった。当時は7月にアポロ11号が月面着陸、翌年には大阪万博。イベントやらなにやらが目白押しの時代で地味にスタートしている。これだけ長い間、皆さんに支えられて、これだけ大きく育てていただいた。先生も喜んでいらっしゃると思います。ありがとうございます」と詰めかけたファンに感謝の言葉を述べた。

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