鷲尾伶菜、20代最後のアルバムで大切な人たちに届ける「アーティスト・鷲尾伶菜」の熱


幸せな曲に挑戦「引き出しを漁りまくりました」


ーーアルバムではいろいろな愛のかたちが歌われています。鷲尾さんが作詞された「Always I’m into you」はハッピーなラブソングで、これまで鷲尾さんが発表されてきた楽曲にはないアプローチかなと思いました。

……そうなんです。ハッピーなラブソングってないなって思って。活動してきた12年間を振り返ってみても、あんまり幸せな曲がないんですよね(笑)。最近は年齢的なこともあって親友が結婚したり、子どもが生まれたり、周りから愛あるエピソードを受け取ることが多かったんです。自分の中でそういう気持ちの高まりがあって、それを曲にできたらいいな、今なら書けるんじゃないかって。テイラー・スウィフトが出てきたころのようなカントリー調なギターから始まって温もりがあるこの楽曲との出会いもあって、この曲にハッピーな気持ちを詰め込めたらいいなって思ったんですよね。

ーーハッピーなラブソングをちゃんと形にして、多くの人の心に響くように仕上げるのは、切なかったりサッドなものと比べて難しさがありますよね。これはどんなジャンルのアーティストの作品を見ても感じます。

単純になっちゃうというか、ハッピーな曲の中にもちゃんと深みを持たせたいですよね。だからこの曲では私も自分の引き出しを漁りまくりました。結局サビとかは英語に頼っちゃったなって思っているんですけど。”朝起きる時はキスで目覚めさせて”って、日本語だとちょっと照れくさい。英語なら伝えやすかったりするので。いま表現できるハッピーなラブソングはできたのかなって。次は自分自身にうれしい知らせがあったりだとか、少し経験を重ねた時、また新しい表現ができるようになるのかなって思います。

ーーいろいろなラブソングを歌ってきたなかで、年齢や意識の変化とともに、自分がフィットする楽曲も変化してきますよね。例えば、真っすぐにただ大好きだ!っていうようなポップな楽曲とか、ちょっと眩しかったり。

それは、そうかも! ただ、自分は昔から明るい曲は歌いにくいなって思っているんですけどね(笑)。年齢を重ねるほどに感情移入しにくくなるものもあるだろうし、そういう曲は歌える時に歌っておくべき。だから今だからこそ歌えるものを歌いたいって思います。

ーーそれでさっきの話が戻ってくるんですけど(笑)、20代も終わりに近づいて、例えば20代の前半と比べて、恋愛そのものや恋愛観、相手との関係に求めることだったりには変化がでてきますよね。

それはそうですよね。今は……恋愛する上で大事なのは、足りないものを補填しあえるような関係性。その人が私を補ってくれるだけではく、私自身も相手に足りないものを持ってる。それが理想かなって思っています。30の手前、結婚も普通に意識しますし、20代前半の頃のような姿勢では恋愛を楽しめないし、そう簡単には人を好きになれない。何も考えずに恋愛を楽しむ時間は自分の中ではとっくに終わっていて。結婚とかいろんなこと、今後の未来を考えられる人間、その人の価値観だったりを見るようになりました。