料理人・稲田俊輔が六本木で白熱「崎陽軒の幕の内弁当」教室!『食いしん坊のお悩み相談』
稲田さんはまず「幕の内弁当」の全景を俯瞰し「贅沢だなと思った。L字部分でミックスフライ弁当として、J字部分でミニマルなシウマイ弁当として、J字部分にもしシウマイがなかったとしても “(おべんとうばこのうたの)これっくらいのおべんとう” として成立する」と評価。「僕は左上をビール群、右上をご飯群に分けてビールと共に左上を攻め、しかるのちにこれっくらい+シウマイ弁当を攻める計画を立て」て、イベント前日に実行したという。
実際の行程について「グルーヴィーに食べ進める時、食べられない物が混ざっているとリズムが崩れるので夾雑物(きょうざつぶつ)をすべて撤去。バラン、かいしき的なもの、そして初手から醤油と決別することにした」と説明。
続いて「この中で唯一あまり好きじゃないかまぼこをなかったことにするために、口取りをかまぼこと位置づけて菜の花を重ねますが、一見漬け物っぽいけどもしかしたらおひたしの可能性がある。僕は味見してから方針を決めることを自分に禁じていて、この時点では菜の花だけど漬け物なのかおひたしなのか分からない、言うなればシュレーディンガーの菜の花」とたたみかけた。
「自分の苦手なかまぼこと、菜の花を組み合わせることで好きなものに近づけようとした。こうなると菜の花は漬け物であるほうがうれしいが、かまぼことおひたしの組み合わせは悪くない」と稲田さん。さらに欲が出て「(添付の辛子をのせて)菜の花の辛子あえを作成しました。これが序盤のクライマックス」と宣言すると、来場者は思わず感嘆の声を上げた。
その後、右側のシウマイを小皿と位置づけて全辛子をのせ、赤魚とれんこんを入れ替え。れんこんにも辛子をのせて辛子れんこんとし、唐揚げ、レモンを絞った海老フライ、ほんの少しソースをたらしたとんかつに進む。「ソースがウスターソースではなく中濃ソースだったこと」にがっかりしたものの「このとんかつがおいしくて感動しました。お弁当のとんかつって、肉も衣もやわらかいことが多いんですけど、ハードボイルドでみっしり食べごたえがあって」と喜びつつ前半戦が終了。