料理人・稲田俊輔が六本木で白熱「崎陽軒の幕の内弁当」教室!『食いしん坊のお悩み相談』
後半戦のご飯群に進む前に「日本の大衆的な洋食屋さんの黎明期の看板メニューにカツライスと並んで焼売ライスがあった」と豆知識を披露し「最初に醤油と決別したのはソースでシウマイを食べようと思ったから。100年前とかの家庭料理のレシピ本で “焼売にソースと辛子を添えて供する” と出てくるが、自分もやったことがなかったので今回は最終的にソースをかけたい」と今後の方向性を示した。
クライマックスの “焼売ライス” に向け、赤魚で俵型ご飯を2俵。続いて「煮物で順当に2俵いったんですけど、意外と関西風の味つけで苦戦した」。残るは “崎陽軒の裏番長” たけのこ煮でご飯を食べようとしたところ、最大のピンチが訪れたという。「たけのこが今までより甘いなと感じたんですよね。“しまった、ご飯が進まない” と計画が狂いそうになったので、苦渋の決断をして決別したはずの醤油を召喚してダバダバかけた」と稲田さん。
弁当箱に残ったのはシウマイ3個、ご飯3俵、漬け物なしの潔い “焼売ライス” で、弁当箱の仕切りとおかずのモンドリアンの《コンポジション》のようなバランスを「我ながら美しい」と自画自賛。最終コーナーはシウマイ1個に対し、ご飯1俵で進めていき「最後の最後は小梅をひと口で食べたのが僕の崎陽軒の幕の内弁当でした」と語り終えると会場から万雷の拍手が沸き起こった。
記憶に残る弁当を聞かれた稲田さんは「今、自分の中で存在が大きいのは『弁松』のお弁当。自分は基本的に西の人間なんですけど、そういう人間から見ると弁松って本当にわけが分からない異文化。まだ弁松のことを完全に理解しているとは思わないが、時々どうしても食べたくなって新幹線に乗る前に大丸の弁松に寄る。大丸で言うと弁松の向かいに『升本』というお弁当屋さんがあって、いかにも東京らしいんだけど弁松と真逆。東京の人って東京の味に誇りを持っているかと思えば、東京の人たちほど新しいものを柔軟に取り入れる人はいない。升本の場合はそれが入り混じった感じが東京らしい」と答えるなど、終始独自の食理論を展開して観客を圧倒した。