三上博史が寺山修司没後40年記念公演『三上博史 歌劇』で約8年ぶりの舞台

寺山修司(撮影:有田泰而 提供:テラヤマ・ワールド)

 舞台上では、俳優業と併行して長年音楽活動も続け『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』をはじめ、これまでの演劇活動においても芝居と音楽を融合させてきた三上の肉声に加え、有名アーティストのライブにも引っ張りだこの一流ミュージシャンたちによる生演奏、さらに、歌や詩の朗読のほか演劇シーンもふんだんに盛り込まれる。そして伝説的舞台『レミング-壁抜け男』の影山影子役をはじめ、三上が早替わりで寺山作品の多種多様な登場人物を演じ分け、「演劇実験室◉万有引力」とのアンサンブルでさまざまな場面を展開。劇場空間だからこそ可能となる、オペラやミュージカルとは一線を画す“寺山×三上”が深くシンクロする歌劇となる。

 今回の作品にあたり、三上は「寺山さんは僕が育っていくことのすべての種になっていた方です。その種は15歳で出会ったときに植え付けられていて、寺山さんの呪いがかかっているものでした。どんなことにチャレンジしても、どこかで寺山修司や天井桟敷に辿り着いてしまうんです。親離れする、乗り越えていくと思っても、やっぱり影響のある人に辿り着いてしまう。結局はお釈迦様の手のひらの上なんですよ。寺山さんの呪縛は一生ついて回るんでしょうかね、嫌だな(笑)。

 この舞台は、寺山修司記念館で続けてきたライブ、一方で地方の民話や古事記を朗読してきた僕自身の活動の流れの上にありますが、会場が、『レミング-壁抜け男』という天井桟敷が最後の公演をしたのが紀伊國屋ホールで、僕の中では大事な思い出の場所であり、敷居が高い劇場でもあります。そこで僕ができることを考えるとやっぱり演劇なのかなと思ったんです。でもライブは外せない。その合わせ技で『三上博史 歌劇』となりました。そして公演のサブタイトルは本当にいい寺山さんの言葉で、俳優として、一人の虚像として生きてきた僕にピッタリだと思っています。そんな僕の中の要素を総動員してお届けするものになるのは間違いありません。寺山さんのテキストで構成されることは決まっていて、誰も見たことのないものを目指します。比較されたり分析されても仕方のないものなので、肌感覚でガツンと楽しんでもらいたいですし、できるだけ先入観なく見てもらえたらと思っています。」とのコメントを寄せている。

寺山修司没後40年記念公演『三上博史 歌劇 ―私さえも、私自身がつくり出した一片の物語の主人公にすぎない―』

【日時】2024年1月9日(火)~14日(日)【会場】紀伊國屋ホール(新宿)
【問い合わせ】メディアミックス・ジャパン(〔HP〕 https://www.mmj-pro.co.jp/contact/stage/
【作】寺山修司
【演出・音楽・美術】J・A・シーザー
【共同演出】高田恵篤
【上演台本】高田恵篤、寺山偏陸
【音楽監督】横山英規
【出演】三上博史/演劇実験室◉万有引力(髙田恵篤、伊野尾理枝、小林桂太、木下瑞穂、森ようこ、髙橋優太、今村博、山田桜子、三俣遙河、内山日奈加、曽田明宏)
【演奏】横山英規(Bass)、エミ・エレオノーラ(Piano)、近田潔人(Guitar)、ASA-CHANG(Drums)
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