会社も家庭も大事にしたくて選んだ2拠点生活 「苦労もある。でも自分の限界を超えて 挑戦できるって、めっちゃ楽しい」

 

「会社を立ち上げた直後はとにかく毎日余裕がない。一方で子供は可愛い盛り。仕事で挑戦もしたい、子育ての時間も大事にしたい。起業すれば仕事の自由度が増して、そのバランスを取れると思っていたのですが、甘くはなかったですね。当時は家族に迷惑をかけている申し訳なさでいっぱいでした」

 最終的に下した決断が、週の半分単身赴任すること。火・水・木・金が東京で仕事、金曜日の夕方から愛知の自宅に戻り、金・土・日・月が子育て当番という、2拠点生活だ。

「これが私にはすごく合っていました。平日は仕事に集中。夜の会食にも気兼ねなく行けます。家に戻れば4日ぶりの我が子が待っています。たまに会うおばあちゃんのように余計可愛く感じるんです。夫は夫で週末に一人で映画や飲みに行けるので満更でもない様子。お互い生活にメリハリができたことで、夫婦の会話も弾むようになりました」

 プライベートが充実すると事業にも良い影響があるのか、それまで1億円行くか行かないかだった年商が社名変更と2拠点生活開始を境に一気に拡大。右肩上がりを続けている。

「それでも創業してしばらくはうまく行かないのが当たり前。私がPRの仕事を始めたばかりの時も、全くメディアに相手にされず、まるでホコリみたいだと自嘲したものです。ふっと吹けば飛んでしまう軽い存在だと。それでもあきらめずに、取り上げてもらえるまで必死でPRしたことが今につながっています。そうしたホコリの精神が創業時には大事だと思います」

 そんな笹木さんがもう一つ大事にしている言葉が、「売上は減るが実績は減らない」だ。

「売上は時と共に増えたり減ったりしますが、一度積み上げた実績は減ることがありません。塾で教えている生徒を見ていても、それが分かっている人は結果的に成功しています。逆に稼ぎたい気持ちが強すぎる人は、どこかでつまずいてしまうような気がします」

 自身については、「会社の成長とともに新たなトラブルが沸き起こってくる」と頭をかく。しかし、トラブルを避けて安定するのも、トラブルを受け入れて成長を目指すのも「経営者の自由」と前を向く。その覚悟は、やはり命を燃やし尽くしたいという思いから来ているのだろう。

「苦労もあります。でも自分の限界を超えて挑戦できるって、めっちゃ楽しい。会社を起こすという選択をして、本当に良かったと思います」