都医・尾﨑会長「“この国はなんて悲しい国” とあきれ返った」診療報酬マイナス改定巡り
東京都医師会は11月14日、都内で定例記者会見を行った。尾﨑治夫会長は、5類移行後の新型コロナウイルスの感染状況について「第9波で8~9月くらいに一時1万4000~5000人くらいに増えましたが、おかげさまで現在の定点報告から換算すると1200人程度になっている」と語り、一定程度収束してきているとの見方を示した。
一方でインフルエンザの流行を踏まえ「何よりも今大事なことはコロナとインフルエンザの予防接種を受けていただくこと。特にコロナはXBB.1.5という変異株に対応した1価ワクチンで、感染状況を見ていると現在も1割程度はXBB.1.5株なので、従来のワクチンより効果が高いと考えている。重症化しやすい高齢者と基礎疾患をお持ちの方はぜひ接種していただきたい。
インフルエンザはA型はA/H1N1亜型とA/H3N2亜型の2種類、少数ではあるがB型も出てきており、運が悪いと今シーズン3回かかるということもありえるので、インフルエンザにかかったという方も接種していただければ。今は同時接種も認められているし、同時接種したからといって副反応が強く出るとか、効果が弱まるといったデータはありません」などと述べた。
さらに、新型コロナウイルスの経口薬(ゾコーバ・パキロビッドパック・ラゲブリオ)の取り扱いについて「健康保険で1割負担だと3000円、2割負担で6000円、3割負担で9000円になっているが、高齢者で1割負担に当たる方は重症化する可能性が高い。“ぜひ経口薬を飲んでいただけませんか” というと3000円であれば “飲みます” という方が結構多いが、6000~9000円になると値段を言った途端に “いいです” という方がほとんど」といい、
「今後どういう株に変異するか分からず、この冬の流行も予測されているので、重症化しやすい方は3000円の負担で飲めるような形にできないか、東京都の担当と話しているところ。国は一度決めたので難しいという話をしているので、できれば都で補助していただきながら、飲んでいただきたい方は3000円の負担で飲めるよう交渉中」と明かした。
また、来年度の診療報酬改定を巡り、財務省が診療報酬本体のマイナス改定を提言したことを受け、尾﨑会長は「今回の財務省の見解は、普通は “それは違う、おかしい” と断固抗議したいところだが、それをはるかに通り越して “この国はなんて悲しい国なんだろう” というふうにあきれ返って悲しみだけ残ったという感じ。早く協定を結んでほしいと言っている向こうで、開業医は儲けすぎじゃないかというのは、国は何を考えているのでしょうか。コロナの3年間、私どもは遊んで儲けていたわけではない。でも、そう思われている」と反発。
「(コロナ禍では)看護師、事務員、スタッフが一体となって発熱患者を診ていた。もちろん我々診療所、病院の努力だけではないが、結果日本の死者数は欧米に比べてはるかに少なかった。当時の補助金を出しますよという話は、私たちの努力に報いたいという思いが国にあっていただいたものと解釈し、ありがたいと感謝していた。いただいた補助金はさらなる感染対策、人件費ですぐになくなり、翌年は課税されて普段より多くの税金を支払ったので補助金による増収というのはない」と強調し「私たちは財務省の言いなりになる奴隷なのかと悲しい思い。政府がこうした一方的な判断をすることはないと思っているが、本当に悲しい」と憤った。