「人生はなから退屈さ」のフレーズから始まった! 令和の卒業ソング『僕らまた』のSSW、SGがメジャーデビュー


カラオケで始まった”自分の声の研究”

ーーギターからボーカルに変わっていったのは、少なくとも歌うことに意識が行き始めたということですよね?

 ルームメイトの韓国人の先輩の影響です。先輩はカラオケがめちゃ好きで一緒に行っていたんですけど、趣味みたいで、自分が歌っている様子を動画で撮って後で見るみたいなことをやっていたんです。それで自分もやってみたんです。 最初に自分の声を聴いた時の感想は気持ち悪い! でした。聞こえている自分の声と、録音されたものってまったく違うんだなって。そこからです、もっと上手く歌いたい、きれいにしたい、この部分をああしてみたいと研究が始まってたんで。

ーーそこは研究者と声楽家のご両親の影響がありそうです。大学では決定的な出来事が起こったとか。

 はい。廊下で鼻歌を歌ってたら、とあるバンドに誘われました。当時その名を轟かせていたインディーズバンドのドラマーの方がボーカルを探していて、ボーカルをやらないかと。

ーーそのバンドというのは完全にプロ志向だったということですよね。

 です、です! ただ、活動しているなかでコロナ禍になって発信する場所がなくなりました。その時にはもう大学は辞めていたんですけど、自分の歌は人に認められるという自信も出てきていたので、多くの音楽を志している人たちがやったように、SNSを駆使して音楽をやってみよう、と。そしたら、2投稿目でBUZZったんですよ……

ライブハウスからSNSへ オリジナルからカバーへ

ーー 何かに導かれている感じですね。

 ほぉっ!って驚きました。ライブハウスではなかなかお客さんも入らなかったのに、SNSに乗せた瞬間にこんなに火が付くのかって。そこから、SNSを駆使してシンガーとして成り上がってやろう、と。それがSGの始まりです。

ーー今、シンガーとおっしゃいましたけど、その時点の目標は自分で作詞作曲もするシンガーソングライターではなかったんですね。

 その頃は曲を完成させるというのが出来なかったんです。バンド後半では自分がほとんど曲を作ってたしDTM(Desk Top Music)もできるようになっていたんですけど、言語的な問題もあって、日本語はできたけれど、いわゆる歌詞的な表現に疎くて表現しきれなかったんです。それと同時に、SNSでは、自分が作った楽曲をただやっているだけでは聴いてもらえないんじゃないだろうかって思うところもあって。まずは自分の音楽を気にしてくれる人を増やそうと思ってカバーからやりはじめました。

 僕のアイデンティティーによるオリジナリティーというか、韓国人が歌う日本語っていうのがあって。これは自信を持って言えるんですけど、TikTok全盛期に一世を風靡したっていっても過言ではないぐらい聴いてもらえました。それをシリーズでやっていくんです。韓国の曲を日本にしたり、その逆も。それがBUZZり散らかして!

ーーBUZZったことの分析はできていますか?

 単純にこういうやつがいなかったんじゃないかな。韓国語も日本語もできるバイリンガルで、歌も聞き心地がいい……? 僕がそれを自分で言うのかって言う(笑)。

ーー言わせてしまいました(笑)。日本も、K-POPだったり韓国のエンタメの楽しみ方が成熟してきてテレビなどから流れてくるのとは別のものを探して楽しむ人が増えてきたところでSGさんのような”シンガー”を愛す用意ができていたのもあるかもしれないですね。

 韓国語は韓国語で聞いたほうがいいし、日本語は日本語で聞いたほうがいいというの、あると思うんです。自分もK-POPの日本語バージョンを聞くと違和感がありますから。そういったイメージをぶっ壊して、日本のみなさんにはK-POPを、韓国の方にはJ-POPをいい感じに、気持ちよく、聴きごたえがある作品として届けたい、それが僕の狙いでした。

ーーそして、シンガーソングライターにも向かっていく。

 はい。カバーがBUZZって、たくさんの人が気にしてくれているというありがたい状況で、そろそろ自分の曲を出したいって思い始めたんです。ちょうどTikTokで冬ソングを作るキャンペーンもあってエントリーしてみようと。YouTubeを手伝ってくれていたJUGEMとの共作したのが「Lily」で。だからこの曲はすごく考えて作った曲です。

ーー 何にしても考えるってすごく重要なことですけど、SNSを活動の場にしたとき、よりそういったことを考える必要がありそうです。サウンド面についても、同様ですか?

 考えてます。ただ、どちらかっていうと、JUGEMと作業をする中で、それいいね!それいいね!って作ってどんどん作っていくので、ゲテモノになるんです。「Palette」も僕はゲテモノだと思っています。みなさんのお口に合えば幸せです(笑)。