「人生はなから退屈さ」のフレーズから始まった! 令和の卒業ソング『僕らまた』のSSW、SGがメジャーデビュー
「人生はなから退屈さ それでも愛を歌うんだ」
―― ……良かった!「Palette」はバンドサウンドが前面に出たロックチューン。心地よいメロディーラインがあって前向きなメッセージが綴られています。聴き進めていくうちにカラフルな世界観が開けていく感じの楽曲ですが、バーンのあと出てきたのはどんなアイデアだったんでしょうか。
JUGEMが戻る前ですが、旧Twitter(現X)で投稿した「人生はなから退屈さ それでも愛を歌うんだ」っていうフレーズがあって。それがこの曲の始まりです。当時もうメロディーもあって、ずっと作りたかったんだけど、JUGEMがいないし、愛を歌う理由もなくて、作るところまで至りませんでした。でも自分のWANTを作れって言われて今ならって。JUGEMと制作に没頭しました。そしたら、この曲なら6カ月休んでても良かったって(笑)。
トラックダウンに向かっていくのは自分のズタボロになった部分を修復していくような時間でした。イヤホンをつけて、6カ月ぶりに音楽を聞いて、聞きながら2時間ぐらい散歩しました。その時に思ったのは、今までは自分は大それた目標とか夢を強いられてきたな、自分が何となく立てた目標というものに対して向かっていくだけだったなって。それで、ぶっ壊れて、すごい病んだり、嫌なことがいっぱいあったって。今は欲しいものは買えるし物質的なものに関しての人生は終わったから、達成すべき目標、叶える夢っていうのを作るのを辞めよう、というか無くそうって思ったんですよね。そう決めたら、すごく身軽になりました。
これからの人生をドラマに見立てるなら、どんな脚本を作り、どう組み立てたらこのシーンがおもしろくなるのか、それを考えて生きてくほうが楽しそうだなって。楽しくなりそうなことを考えていきたいなって思ったんです。
今までの自分が彩ってきていた人生、失敗、成功、挫折、喜怒哀楽すべてをひとつのパレットにおいて、そういった絵具でこれからの新しい人生を描いていけばいいんじゃないかって。その考えに至っていろいろ腑に落ちました。
ーー今この場面を最高の色づけをしていく、ゴールを目指すのではなくて、最高の場面の連なりを大事にしたい、みたいなこと?
目的地がある旅をしたくない、そういう感じかなあ。策略家だし(笑)考えて動きますよ、だけど目的地に着こうと掲げても渋滞もあれば事故もあるかもしれなくて、自分が決めたように進んで行くわけがないんです。そう思える人もいるけれど、僕にはよくわからない。僕がするのは、いま自分にできることを本気でやるだけです。
自分自身が積み上げてきた人生を書こう
ーーそうした考え方になったことで、自分自身にどんな変化が起きてますか?
クリエイティビティに広がりが出た気がします。例えば、リリックです。歌詞はその歌詞を書いている人にしか書けないものだから、コピペのような歌詞を書くのではなく、自分自身が積み上げてきた人生を書こうと。こう書けば誰にこうささるって考えるんじゃなくて。
ーー自分の話をしよう、そこにはオリジナリティーしかないっていう話ですね。
僕はずっと自分が思っていることを誰かが理解して共感してくれるわけがないと思っていて、それが課題でした。自分の思っている意見は正解、だから世の中に出してもいいんだよって自己肯定できるようになれたことは、SGにとって大きい。ここからのアート、クリエイティビティ、大きな変化です。
ーー「Palette」は本当に大事な曲になりそうですね。
はい!自分がやりたいことを突き詰めたのに、みんながいいじゃんって言ってくれた曲ですから。いいねって身内だけじゃなくいろんな方が言ってくださるから、これで正解だったって再認識しています。今まではいい感じに書いてみようと考えて書いてた部分があるけれど、ここからは自分の人生観を語るフェーズ。生々しくなっていくんじゃないかなって感じがします。
ーーSGさんの表情を見ていると、そういう曲がずいぶんできていそうですね。
30曲あります(笑)。
ーーもうフルのライブができますね、ダブルアンコールぐらい。(笑)。 最後にこんな話をしてきてすごく野暮な質問ですけど、今後の目標やプランは(笑)?
生きていること、かな(笑)。
ーー答えありましたね(笑)。今日はありがとうございました。
(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)