杉咲花の“色気”がハンパない!演劇が原作の映画『市子』のココが凄い!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 やっとちょっと冬らしい季節になって来たと思ったら…知ってました? 今週末がもう12月だってこと。

 あと1カ月、頑張っていきましょう。

 では今週も始めますか。

『市子』12月8日(金)テアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 配給:ハピネットファントム・スタジオ( ©2023 映画「市子」製作委員会)

 とりあえず、マイケル・ジャクソン氏と及川光博氏を、頭に思い浮かべて下さい。
“色っぽい”でしょ? 演技の講師などもしている筆者の解釈では「すっごい頑張ってるけど、それを表情に出さない」が“色気”の定義だと思っています。「エッチだな」とか「セクシーだな」とは、一線を画しているんですよね。

 男性が女性に対して、ミステリアスな感情を抱くのとも違う歴然とした「色気」。

 今作の主演・杉咲花さんは、ここが素晴らしかった。無表情のときも笑顔を見せたりするときも、ずっと頑張っているのだけれど、それを表に出さない。「秘する」といえばいいのでしょうか? 作品の奥行きを存分に、遠くまで持って行ってくれます。詳しく言えば「内臓の使い方」なのですが、1万文字ぐらいになるので、割愛。

「一生」を描く物語はとても多く(現代的な表現でなくてすみませんが)男性が主人公だと織田信長を筆頭にして「戦国武将系」から始まり「島耕作シリーズ」など“立身出世”が好まれていて、女性の一生の話になると“恋愛”が、中心になることが多い印象。もちろん、そうではない作品も多々ありますが。

 その「女性の半生」を、ここまで演じきった杉咲さんは、本当に終始美しかった。

 また、この作品は、演劇が原作ということなのですが、映画では無茶苦茶、場面転換する!

 映像と舞台では、相当、モノの見せ方が違うので「12人の優しい日本人」とか「キサラギ」みたいに“ワンシチュエーション”にすることが多いのですが、それを全くせず、どんどん場面転換していく。

 むしろ、舞台でどうやってたかが知りたいわ!
 セットきちんと作ってたら数百万じゃ済まない景色!
 セットを工夫していたにしても、作らずに表現していたにしても「観たかった!!」と思える傑作。
 スクリーンでは観れるので、皆様、是非劇場へ!

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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