上野樹里と林遣都が「誹謗中傷を目にしたら…」回答に観客も拍手

 

 映画 『隣人X -疑惑の彼女-』 (12月1日公開)のイベントが22日、都内にて行われ、俳優の上野樹里、林遣都と熊澤尚人監督が登壇。上野と林は観客から質問され、誹謗中傷を生む差別や偏見についての思いを語った。

 パリュスあや子による第14回小説現代長編新人賞を受賞作「隣人X」を映画化。日本が惑星難民Xの受け入れを発表したことで広がる波紋と、Xの正体を追う雑誌記者の葛藤を描く異色のミステリーロマンス。

 冒頭、熊澤監督はコロナを機に「分かりやすい差別ではなく、見えない無意識の偏見みたいなテーマで作りたいと思いました」と振り返り「コロナを経験した皆さんだからこそこの映画を見て感じることがたくさんあると思う」と語った。

 この日は、試写を鑑賞し終えた一般の観客から質問を受け付けてティーチインを実施。

 劇中ではX疑惑をかけられた人々が誹謗中傷を受ける場面も。観客からの「情報拡散や報道被害で差別や偏見を持ってしまい加害者となる人や被害者を生まないためにはどうしたらいいと思うか」という質問に、上野は「SNSとかで変なことを書き込む人って…。普通、人としてネガティブなことを思っても口に出さないじゃないですか。書いたのは残るしたくさんの人が目撃する。でもその人って、そうやってあがくことで世の中に自分の存在価値を見出して、人様に見てもらうことをエネルギーとして生きていると思うんですね。そういう人のアカウントをたどるとネガティブなことばかり書いてたりして大変だなと思うんだけど」と語り「そこでネガティブなことを言っていても解決にはならない。一人ひとりの気持ちと行動がこの世界を作っていて、自分もその一人。この世の中をもっと過ごしやすくするためにどうしたらいいんだろうと考えて、優しくなってほしいなと思いますね」。

 さらに「全部シャットアウトしても自分の心を理解してくれる人が1人でもいれば、最初は小さな1歩でもそこから広がっていく。そうやって街とか国とかこの星が成り立っている。傷つけている人を見たら、その分まで自分がちゃんとしていかなきゃ、と思って。同じ時代を作っているチームの1人として、自分はしっかりポジティブなことを発信していこうと思うしかないのかなと思っています」とまっすぐに回答。

 林も「いつからか、物事の判断基準や評価が分かりにくくなってきて、全然知らないに、こういう人間だと言われることが蔓延していると思う」と言い「もし自分が知らない人によって嫌な気持ちにさせられることがあったときは、絶対に負けないでいたいなと思います。自分はそれをしていないし、誰かを攻撃したり傷つけたりするよりも常に周りの人や誰かの幸せを願って生きるほうが絶対にいい人生を過ごせると自分に言い聞かせて。そういうこと(誹謗中傷)をすると自分の価値を下げていくと考えるようにしていて。この人よりオレのほうが幸せだと思うようにしています」。

 2人の回答に観客も大きな拍手。熊澤監督も「この映画はXを探すところから始まる物語ですが、Xは誰だと思った瞬間に見る人の中にも無意識に偏見の芽が生まれると思う。自分だったらどう対応していくかこの映画を見て考えてもらえたら」とアピールしていた。

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