林遣都「絵文字が無くても伝わる関係っていいなと思うんです」映画『隣人X』で描かれる「本質を見ることの大切さ」
そんな林が人とちょっと違うかも…という部分は?
「いろいろなことを同時にできないんです。例えば、先日まで舞台をやっていたんですけど、舞台が終わって着替えるときに、何度も脱ぐタイミングではないところでズボンを脱いでしまって“ここは脱ぐとこじゃないですよ”って言われてしまう。結局、最終日くらいまで何度も同じことを言われ続けていました。どうも、着替えをしているときは僕にとってオンオフの切り替えになっているのか、他のことが考えられなくなっていまうみたいで。ドラマの現場でも、衣装のままで帰ったこともありましたし。だいたい、そういうときは今日の演技を振り返って“あれでよかったかな”と考えていることが多いですかね」
“今日はここがよくできた!”と思う日も?
「それは無いんですよね。たぶん、この取材が終わって控室に入った後も、あれでよかったかなと5分くらい考えていると思います…」
人と人とがコミュニケーションをとることは決して簡単ではないけれど…。
「今はSNSやメールでやりとりするうえで絵文字が当たり前になっていますが、それで却って感情が伝わりにくくなっている面があるように思うんです。絵文字がないと相手の感情が分からない、という時代になっている気がします。でもそんな中でも、お互いにきちんと向き合って理解し合う人と“、”や“。”で分かり合えるやり取りができたときは、すごくいい関係を築くことができていると思えたりします。ただの“。”の奥にある感情を見る世界になればいいな、と。もちろん、絵文字などで人の感情が分かりやすく伝わるのも素敵なことだと思います。でもそればかりじゃなくて、想像力を持って本質を見ようとする目を常に養っていきたいんです。例えば北野武さんの映画では役者さんが1ミリも表情を変えないシーンがけっこうあるんですが、そういう“感情を想像する”という感性を大事にしたいなと思うんです。今回、本作を経て改めて“表面的な部分ではなく本質”を大切にしていきたいと思いました」
言葉にできない不安に覆われていく世の中で、嘘と謎だらけの2人の関係はどんな結末を迎えるのか。最後に2人が選ぶ答えを見届けてほしい。
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)