実話をもとに描かれたヒューマンドラマ『義父養父』は演技と効果音のハーモニーでの魅せ方がエゲツない!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 やっとちゃんと寒くなってきましたね。いや、それにしても急激に寒くなりすぎだって…。

 とにかく今年もあとちょっと。とりあえず収まったのかどうか分からないんですが、インフルエンザだけじゃなくてコロナにも気をつけましょう。

 では今週も始めます。

『義父養父』 企画・監督・脚本:大美賀均 12月15日(金)公開

「5回の結婚を繰り返した母親の娘が主人公」
 はーい、皆さんここまでいいいいですかー? 此処から先、テストに出ますよ〜。
 つまりこの主人公には、5番目のお父さんが居ます。そして、その5番目には双子の兄がいます。
 ついてこれてますか〜!?
 この兄が、主人公を養子にもらう、つまり“6番目の父”になろうとするというお話。
 まだ、全然ストーリーの冒頭なんですが、ご理解いただけますでしょうか?
 登場人物は皆、そこそこの年齢です。

 人間関係すっごい複雑!
 なのに、台詞すっくないし、ボソボソ喋るし、BGM一切ない。

 BGMの基本て俳優や映像で表現しきれていないところにつけるか、観客の心理を盛り上げたいときにつけるかみたいな感じなんですが、逆説的に考えると「それを必要としないほど演技と映像が良い!」ってことなんですよね。60分という上映時間も丁度いい。
 全く、激しく切り替わるカット割りもなく淡々と、人間のドラマを見せていく。
 勿論、ストーリーも複雑な人間関係も、スーッと入ってきます。

 ここで、凄くいい仕事をしていたのが「効果音」。
 咀嚼音から足音、車や風、衣擦れに至るまで、めちゃくちゃこだわって並べられている。
 効果音て、その場でマイクで撮ったものを使う場合と、あとからつけたり消したりする場合と、あの、時代劇で人を斬るときにキャベツ斬る音を録音して、乗せたりするヤツですね。

 色々な方法があるんですが、この作品は、あらゆる手段を使ってかなり細かく修正しつつ作られたのではないでしょうか。

 非常に、耳心地の良い素敵な映画でした。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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