“日本を元気にする鍵” 都内で奮闘する注目のスタートアップ企業

株式会社グレースイメージング 中島大輔 代表取締役 CEO

汗乳酸の技術でアスリートのQOL向上を実現
より効率的なリハビリ計画への活用も

株式会社グレースイメージング 中島大輔 代表取締役 CEO 


 株式会社グレースイメージングは、ウェアラブルデバイスを使って汗から乳酸を計測するとともに、運動中のさまざまなバイタルデータを統合することで、個人に最適な運動強度を知らせる分析システムを提供するスタートアップ。6期目を迎える今年、東京都ベンチャー技術大賞の優秀賞を受賞した。

ーー 受賞を受けての感想をお願いします。

 もともと大学発のスタートアップで、大学の側にオフィスを構えて開発を進めてきました。これまでに都からいろいろ支援を受けてやってきて、6期目に入ったところでこういった賞という形で評価をいただいたことに感謝しています。

ーー汗から乳酸を乳酸を計測する技術を用いての分析システムを提供。このシステムの出発点について教えてください。

 私は整形外科医で、臨床医をしていたんですが、8年前に大学院大学に戻りました。そこでいろいろ研究する過程でこのセンサーの基礎技術がある程度医療で使えそうであることを見出しました。それが6年前。今もそうですが、その頃も大学発の技術を世に出していこうという機運が高まっていて、会社を作りました。

ーー今後この技術や分析システムの広がりは?

 運動中の事柄は本当にいろんなことに使えます。

 スポーツ分野ではすでに使っていただいています。乳酸については、大学レベルの陸上選手になるとみんな測っていると思いますが、耳や指から採血して乳酸を計測し、運動代謝の変化を見ています。少しだけとはいっても採血は痛いですし、誰が採血するかといったところで倫理的な問題もあります。それが汗なら解決します。

 医療においても運動代謝の変化はずっと見ています。と、いいますのも、ちょうど乳酸が上がるぐらいの運動負荷量が一番健康にいいことが分かっているからです。計測はエアロバイクに似た装置でこいでいるとペダルが重くなって、吐く息、二酸化炭素の値が上昇していきます。それと同じところに汗乳酸があることが研究で分かっています。医療の分野で活用されるのはリハビリ、特にその強度です。現在はリハビリ師とセラピストが経験と勘でやっているようなところがあって……それを持っている人はいいんですけれども、ずっとその経験と勘に頼っていくのだろうかというところがあります。

 スポーツについては、すでにデバイスができていて、トラクションも毎週何件も来ている状況で一つひとつ売り上げを立てている状況です。医療の方は、医療機器として承認を受ける必要がありますから、来年目標に販売開始を目指しています。

 会社の目標としてはスタートアップですのでイグジットを目指し走っていきたいと思っています。現在のフェーズとしては0が1になったぐらい。プロダクトマーケットフィットがうまく行ったぐらいのフェーズですね。