坂上忍、盛岡市の葉たばこ買い入れ現場で一喜一憂「自分は関係ないのにドキドキする」

元プロボディボーダーという経歴を持つ府金さんとすっかり打ち解けた雰囲気の坂上

たばこ産業は僕がイメージしていたより人間くさい

 葉たばこの収穫から買い入れまで取材した理由を「もともとただの超愛煙家だったんですけど、普通はたばこがどうやって作られているかというのは知りようがない。でも、世の流れでたばこが悪者扱いされる風潮になっていく中で、僕は “何でなんだ?” って思って実際に過程を見させてもらったわけです」と語る坂上。

 そこで気づいたのは昔ながらの人と人とのつながりだといい「今時の会社やお店ってみんな機械化して無人が多いんですけど、たばこ産業においてはみんなでコミュニケーションを取って、僕がイメージしていたよりも全然人間くさかったですね。生産者と企業の関係性ってもう少しドライだと思っていたので、たばこって “人” が作ってるんだと。鑑定員の方が農家まで足を運ぶとも聞きましたが、世間話しかしないんだったら行く必要ないじゃんって思うんだけど(笑)、その無駄が大切なわけでしょう? きれいごとじゃなく、そういうやり方を続けているんだというのが、僕としてはすごくうれしかったですね」。

JTとたばこ耕作組合で決定する「標本葉たばこ」が格付けの基本となる

 自身はたばこを吸わないという府金さんが「この頃たばこに対するイメージが変わってきていて、休憩の時に一服している人を見ると本当にリラックスしているので、ストレスをだいぶ緩和しているんじゃないかと思って。いろいろ言われる部分はありますけど、そんなに悪いものじゃないんじゃないのかな」とつぶやくと「全然悪くないですよ、僕もこれだけ吸ってるんですから(笑)。買い入れの見学をした後も、時間があったら真っ先に行きたいのは喫煙所だし、そこで “よっこいしょ” とひと息ついてまた働こうと切り替えられるじゃないですか。それだけで気分よく働けるんだから、これ以上たばこが吸えなくなる状況は “やめて!” と思います」と坂上。

 来年に向けた目標を聞くと「もちろんオールAを狙っていきたいですけど、みんなが楽していっぱい葉たばこが作れるように、機械とかアイデアを考えながらやっていこうと思います。一番は奥さんにあんまり負担をかけないように、仲良くやりたいですね。それを見た子どもが葉たばこ農家を継ぎたくなるように」という府金さん。

将来的には畑を大きくすることも考えていているという府金さん

 将来的には畑を大きくすることも考えていて「今、一町一反(約1ヘクタール10アール)まできていて、一反増やすと米でいうと一町増やすのと同じくらいの手間がかかる。いい葉たばこを作ろうと思うといろいろ大変だけど、うちの2倍の広さをやっている友達がいて、それは畑を広げたお父さんがいて積み重ねがあるから。代々つながっていくことをイメージしてやっていかないと、これからの葉たばこ栽培は難しいんじゃないかと思います。ただし、みんなが嫌な思いをするんじゃなく、笑顔でできるように」。

 府金さんの話を受けて、坂上は「今の葉たばこを取り巻く状況は、僕だったら “ふざけんなよ” って言ってキレてると思うのですが(笑)、農家さん自体の手間暇を軽減できるような生産方法や新商品を開発することは、府金さんの “負担がないように広げていきたい” という思いにも当てはまるわけじゃないですか。生産者と企業がWin-Winを目指し、同じ目標に向かって歩みを止めずにやっていく。ちょっとずつの作業なのかもしれないですけど、その積み重ねが大事なんだと思います」と力を込めた。

(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)

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