創業43年の文壇バー「風花」が新宿5丁目で最後の営業 西村賢太と島田雅彦が鉢合わせも
壁面に並んでいたボトルはずいぶん少なくなったように見える
新宿5丁目の三番街に昭和55(1980)年に開店して43年。当時は八百屋や魚屋、豆腐屋、米屋、クリーニング店、表具屋(掛け軸や額、ふすま、屏風などの仕立てや修理を行う店)、酒屋などが軒を連ねる商店街の中で異色のバーだった。店主の滝澤紀久子さん(83)に、43年で思い出に残った出来事を聞くと「やっぱりケンカかしらね」とぽつり。確かに壁に穴が開いているので、“表へ出ろ!” などと迫られることはあるのかと問うと「それがね、ケンカっていうのはギャラリーがいないとやらないのよ」と微笑んだ。なるほど、表に出るような事態にはならないということらしい。
移転を表明後は同所での営業を惜しむ来店客が後を絶たず、前日も夜明けまで営業してそのまま一時閉店日を迎えた滝澤さん。壁面に並んでいたボトルはずいぶん少なくなったように見えるが、来年3月には新宿区荒木町でリニューアルオープンを控え、一時閉店後も引っ越しと新店の準備などで慌ただしいという。看板やカウンター、椅子などはなるべく雰囲気を変えないよう移転先にそのまま持ち込まれる。