栗原恵×中山俊樹対談「バランスよく成り立っているチームが最終的に勝つことが多い」
プレッシャーを楽しみに変える
中山「スポーツにはプレッシャーがかかる場面もあると思いますが、その点はいかがですか?」
栗原「私自身はプレッシャーを楽しみに変えようといつも考えていました。試合に向けてできることはすべてやったと思っても、いざとなると “こうしておけば良かった”“もっと練習しておけば良かった” という不安は常に湧き起こって……。でも、その不安が向上心につながることも分かっているので、そんな自分を客観的に見て、プレッシャーさえ楽しんでしまおうと考えたのです。ストイックになりすぎると楽しめなくなってしまうので、あえて気軽に考えることも時には必要だと思いました。中山社長はどうですか?」
中山「業績目標やプロジェクトの締め切りなど日々プレッシャーはありますね。そんな中で私が大切にしていることは二つあります。まずはゴールに向かい続けることや目の前のことから逃げ出さないこと。もう一つは追い詰められないこと。追い詰められたと思ったら、いったん心をオフにする。別のことに打ち込んで気持ちを切り替える。私の場合は休日のテニス、年に数回の山登りがそれに当たります。その時間は仕事のことを全部忘れて、テニスや山に集中する。そうやって日々のプレッシャーとうまく付き合っています」
栗原「あえて別のことに没頭する時間を作っているんですね。私もスランプに陥った時は視野が狭くなってしまって、基本的なことに気づけなくなることがありました。そんな時は一度バレーボールから離れて別のことをするようにしていました。先ほど “楽しむ” という言葉を使いましたが、実は楽しめるようになったのは引退を見据えた最後の1年半くらい。それまでは “楽しんでいたら試合になんて勝てない” と思い込んでいましたね」
中山「世界を相手に戦っていた栗原さんだからこその重みある言葉ですね」