逆境《第52回 Glow of Tokyoのコソコソばなし》

 普段は東京タワーのアテンダントとしてゲストを案内する一方で、東京タワーのメインデッキ1Fにある「club333」で躍動感あふれるエネルギッシュなパフォーマンスを披露しているユニット“Glow of Tokyo”。そんな彼らの素顔に迫る新コラム「Glow of Tokyoのコソコソばなし」。東京タワー、そして“Glow of Tokyo”の魅力を本人たちが発信します!

 

Glow of Tokyoのコソコソ話、

今回の担当は、最近小型カメラ付きの耳かきを手に入れてスマホで自分の耳の中を見ながら耳掃除をすることが至福のひとときとなっているダンサーのMaiです。

 

 

2024年、年明けから連続してショックな災害や事故が重なり、

メディアでは連日暗いニュースが報道され、不安が募る1年のスタートになった。

そんな中、私自身にも次々と起こった悲劇を話させて欲しい。

 

忘れもしない2023年12月11日午後5時10分

最初の事件は起きた。

 

【悲劇①】鼻骨骨折

スマホを片手に地図アプリを見ながら駅までの道を調べて歩こうとした瞬間、信じられない音が鳴り響き、壁に衝突。

周囲の人に見られている恥ずかしさに襲われつつ今まで感じたことの無い激痛と共に流れる大量の出血。

鼻筋がなくなるくらいに鼻全体が腫れ上がり、まぶたの上まで内出血が広がって顔面はボロボロ。

病院でCT検査をしたところ鼻骨骨折だった。

 

【悲劇②】拷問手術

事故から約1週間後、曲がった鼻を治すために紹介してもらった病院で鼻骨の整復手術を行うことになった。

局所麻酔で意識のある状態で行ったこの整復手術が文字では表現出来ないほどのエグい&ムゴい内容であったので興味のある方はぜひ調べて見てほしい。

この手術により私は骨折した時以上の痛みだけでなく、心まで抉られるような苦しさを体験し、一生分くらいの涙を流すことになったのであった。

 

骨折が徐々に回復していた2024年元旦。

東京タワーの仕事始めはもちろん1月1日。2023年は鼻骨骨折のせいで散々な1年の締めくくりをしてしまったので今年こそはいい事がある、

いやいい事しかこれから無いだろうと思っていた矢先、

 

【悲劇③】トップデッキ(展望台)に閉じ込められる

地震が発生したとき私は偶然、東京タワーのいちばん上の高さ250mの展望台、トップデッキで勤務していた。

東京では震度3程度ではあったものの、トップデッキはかなり揺れた。

展望台行きのエレベーターは揺れを感知すると自動停止する仕組みになっているため、

エレベーターは停止し、安全点検が終了するまでは全ての案内も停止。

よってトップデッキから下りることができなくなり、36名の海外のお客様とトップデッキに取り残されてしまったのだった。

 

しかし、この状況下で私は4年東京タワーで働いている中で1番と言っても過言でない心温まる体験をする。

 

Google翻訳などを使って日本語の通じないお客様に、エレベーターの点検がおわるまで2時間くらい時間がかかる可能性があるため、それまでトップデッキで待機することになるという事実を恐る恐る伝える私。

 

確実に(「ハア????」とか「マジデ????」とかなるやろなー、怒られても仕方ないよなー)と思っていたら、

 

「2時間ね!OK!!!😊👌」

 

みたいな感じで状況をすんなり受け入れ、なんならニコニコ笑っておるではないか。

 

そこからトップデッキに閉じ込められた私と海外のお客様と警備員、38人の絆物語が始まる。

 

 

 

防災用に置かれていた毛布や水を全員に配って毛布の上に座って待って頂くよう伝えると、

 

「It’s like a picnic!(まるでピクニックみたいだわ✨️)」

 

と喜んでいる!!!!(?)

 

(めちゃくちゃポジティブやーーーーーーん!!)

 

他にも

「It was a valuable experience. (貴重な経験ができてよかった!)」

 

「Thank you for your wonderful response!(素晴らしい対応をしてくれてありがとう!!)」

 

など、心温まるポジティブ過ぎる言葉をかけてくれる。

 

1時間くらいが経過し太陽が沈み始め、富士山のシルエットと空の色のグラデーションが重なり夕日が差し込み出したとき、トップデッキにいた全員が富士山の見える南西に集まり夕日が沈んでいくのを見届けた。

 

(え、なにこれ、エモすぎる、、、、、、、)

 

 

※写真は別日に撮影したもの

 

みんなが富士山と夕日の写真を撮っている後光の差した眩しい後ろ姿を見つめながら、

この景色を背景に全員で集合写真を撮りたいと思うほど、私はこの状況にエモーショナルを感じていた。

 

エレベーターの点検が終わり、地震発生から約1時間半で全員がトップデッキから下りることに成功。

頭を下げて謝っても感謝の言葉を返してくれるお客様たち。

エレベーターに入って下りていく様子をみて寂しいとすら感じ、確実に絆が芽生え始めていたことに気づいた。

 

最後に私も警備員のおじいさんと一緒に無事エレベーターで下りると、

アテンダントの仲間たちがたくさん待っていて、まるで宇宙飛行士の帰還みたいな気持ちを味わえた。

 

この経験を通して、ポジティブ思考が逆境を乗り越えるために最も大切だと学んだ。

多くの人が逆境に打ちのめされ心を折られてしまうが、逆境を乗り越えられる人は、逆境を楽しむことができ、

更に経験として自分の引き出しにすることができる。

 

「泣きっ面に蜂」ということわざや、「マーフィーの法則」という言葉があるように

悲劇は一度起きると重なったり不運を引き寄せたりするというのは科学的に証明されてるものでないにしろ実際にあるとは思う。

 

ただ、その悲劇をどう受け止め、どう乗り越えていくかで、ただの悲劇で終わるのか、人生の糧になるのか、自分で変えていくことは出来る。

 

地震発生時にトップデッキに偶然居たことで出会えた人たちがいて、学べたことがあったのだから私がトップデッキにいてよかったと思った。

 

さらに私は鼻骨骨折をしてよかったと思う事にした。

鼻を折る以前より鼻が高くなった(気がする)のだ。

美容整形で鼻を高くしようとしたら保険がかからないから何万円もかかるところ、

怪我で保険が適用され6千円ちょいで手術が出来て鼻が高くなった。

鼻整形したいなら壁にぶつかるのをオススメしてるくらい。

 

 

そんな悲劇をポジティブ思考で乗り越えるコラムを書きながら現在私は、

皮膚科の医療ミスにより膝周りの皮膚が薬によってただれてしまい、

歩行困難になり会社を休職する羽目になり、家で寝たきり生活を送っている。

 

この悲劇も何か意味のある事だと信じ、今日も小型カメラ付き耳かきで自分の耳の中を見ながら耳掃除をするのであった。

 

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地震被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地が一日でも早く復旧されますよう心からお祈り申し上げます。

 

 

Mai

 

名前 : Mai(まい)
担当 : ダンサー
好きな言葉 : 伏線回収
特技 : 魚へんの漢字を120文字読み書きできる
チャームポイント : 鼻の傷
最後に : 3月でGlow of Tokyoと東京タワーを卒業します。
最後に踊ってる姿をぜひ見に来て欲しいです!!
東京タワーに所属するアテンダントユニット”Glow of Tokyo”
普段はアテンダントとしてゲストへの接客に携わる一方、オリジナル楽曲をはじめ名曲などのカバーを中心に躍動感あふれるパフォーマンスを、東京タワーメインデッキ1F「club333」にて毎月開催しています。2nd Digital Single「DIAMOND VEIL」が配信スタート!

【公式HP】https://www.tokyotower.co.jp/event/music-talk/glow-of-tokyo/
【Instagram】https://www.instagram.com/glowoftokyo_official/
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