過去最多を更新「梅毒」は誰でも感染する!? 症状が消える、何度でも感染、ピンポン感染も

 昨年1年間の「梅毒」および梅毒に感染している妊婦から胎児にうつる「先天梅毒」の感染者数は、現在の方法で統計を取り始めた平成11年以降で最多となった。そんな近年急増する「梅毒」をテーマとしたトークイベント「今さら聞ける!?日本で流行中の梅毒の話」が2月25日、都内で行われた。

「今さら聞ける!?日本で流行中の梅毒の話」に登壇した三鴨廣繁教授(左)とシオリーヌ氏(撮影:蔦野裕)

 イベントには愛知医科⼤学⼤学院医学研究科臨床感染症学の三鴨廣繁教授と助産師の経験もある性教育YouTuberのシオリーヌ氏が登壇。梅毒の感染者数は2013年から2023年の10年間で男性が10倍、女性が23倍に増加したといい、三鴨教授は「“自分には関係ない” “自分だけは大丈夫” と思っている方が多い気がするが、これだけ増えてきている身近な病気。梅毒は性風俗に関連した病気だという意識があるかもしれないけど、誰でも感染する可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 感染者の年齢層は「男性の場合は幅広く、性的にアクティブな20~30代が多いけど50代の感染者も結構いる。女性の場合は圧倒的に20~30代、特に20代が多い。お子さんを産む世代が多いことは大きな問題」と三鴨教授。シオリーヌ氏も「今の若い年代の方々はマッチングアプリを使った人との出会いが身近。性病検査を受けているかどうかなど、相手の背景を十分知らずに性的な関係を持つ可能性が増えていると感じる」と同調した。

 三鴨教授は “グレート・イミテーター(偽装の達人)” と呼ばれる梅毒の難しさを「一般的に第1期、第2期、第3期と進行していくが、第1期の症状はしこりができて1週間以内に潰瘍になる方が多い。あまり痛くもなく、その潰瘍が2週間もしないうちに治ってしまう。病院に行かなくてもいいかと思うとだんだん進行して第2期になる。症状が出たり出なかったりするが、大事なのは無症状の時期でも性的な交渉があると人にうつしてしまうこと。梅毒と同時に他の性感染症にかかっている可能性もあり、その症状が先に出ていると梅毒を見落とす場合もある」と説明。

 主な症状はごく初期の性器や口の中にただれや痛みの少ないしこり、第2期のバラ疹という発疹や手のひらや足の裏の乾癬(カサカサ)を挙げ「こういう症状が出たら迷わず受診してほしい」と呼びかけた。

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