舞台『千と千尋の神隠し』「イギリス演劇界や若者層の間で早くも話題」ロンドン公演「想像しない売れ行き」で延長
舞台『千と千尋の神隠し』 の製作発表会見が29日、都内にて行われ、主人公の千尋役の橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子をはじめキャストとスタッフが登壇。東宝の松岡宏泰代表取締役が、4月からロンドン公演を行う本作の現地での前評判を明かした。
宮﨑駿の不朽の名作を英国ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード翻案・演出により世界で初めて舞台化。名古屋・御園座での再演(2023)を経て、今年3月から帝国劇場公演を皮切りとする全国ツアーおよび英国・ロンドンで初の海外公演を行う。
冒頭、東宝の松岡宏泰代表取締役は「最初、舞台化を聞いたとき、世界中で評価された奇跡のような作品を舞台化するというのは、壮大なチャレンジというか無謀と思われるのではと感じた」と明かしつつ、大きな話題を呼んだ初演を振り返り「今回は日本各地だけでなく、英国演劇の聖地、ウエストエンドでも上演されます」と意気込み。
演出のジョン・ケアード氏も「宮﨑駿さんは素晴らしい物語の語り部でありアニメーターでもあるが、同時に日本の歴史、文化を伝えている人だとも思う」と、日本のキャスト、日本語のセリフのままロンドンで大規模公演を行う試みに気合十分。
さらに「例えばディズニーの作品だと善人と悪人がいて若者が成長していく物語という傾向がありますが、宮﨑作品は、善人と悪人がいるのではなく、ヒロインやヒーローですら、誰もが良いところと悪いところを持っているという複雑さに満ちていて、それこそ人間世界だと思う」と宮﨑作品の根底にある要素を舞台でも伝えたいと語った。
ケアード氏が「アメリカでもイギリスでも演劇ファン層は必ずしも若くないんですが、宮﨑ファンは若い人が多いので新たな層が来てくれるのでは」と言うと、共同プロデューサーのイアン・ギリー氏が「チケット購入者は18歳から32歳くらいの方が多い」と明かし「ウエストエンドで一番大きい劇場を押さえましたが、これまでにないほど好調な売れ行き。ロンドンっ子はもちろん、ロンドンの演劇関係者の間でも話題を呼んでいる」。
松岡代表も「ロンドン公演がここまでチケットが売れるとは想像しておらず、売れ行きが良いので延長することになった。この作品の魅力は海外でも本当に通用する」と感嘆しつつ「他の国の製作の人たちからも多数お声がけいただいているので、ジョンさんたちとこれからの展開を考えていけたら」とさらなる展開に意欲。
一方、千尋役の橋本環奈、上白石萌音、川栄李奈、福地桃子には「ロンドンっ子たちに本作を宣伝するとしたら?」という質問が。4人が頭をひねっていると、湯婆婆・銭婆役の夏木マリが「おいでな」と劇中台詞でまとめ、拍手をさらっていた。
この日は、スタジオジブリ 鈴木敏夫プロデューサーからの「単なる再演ではなく、まさに新しいことにチャレンジし続ける“千尋”。 私も楽しみにしています」とのコメントを夏木が代読した。
舞台『千と千尋の神隠し』は東京・帝国劇場(3月11日から30日まで。チケット即日完売)を皮切りに、英国ロンドン・コロシアム(4月30日~8月24日)、愛知・御園座(4月7日~20日)、福岡・博多座(4月27日~5月19日)、 大阪・梅田芸術劇場メインホール (5月27日~6月6日)、北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru(6月15日~20日)にて上演。