小池百合子東京都知事が語る災害対策、東京発のスタートアップ、そして人材育成

(撮影・須山杏)

 Tokyo Innovation Baseについてお聞きします。日本の各自治体がそれぞれスタートアップ支援に力を入れ始めていて、今年の10月には名古屋にSTATION AIが開設されます。東京ならではのTokyo Innovation Baseの強みや可能性について教えてください。

「もともと東京都庁のあった有楽町に『Tokyo Innovation Base』(TIB)という拠点を作りました。残念ながら世界競争力ランキングを見ると、日本はよく言えば、まだまだ伸びしろがある、悪く言えばずるずるとランクを下げてきた。ここはむしろ伸びしろを生かす観点で、力を入れているのがイノベーションの創出です。その担い手がスタートアップです。特に東京の場合は、人・モノ・カネ・情報が集まっている。さらには大学という知の拠点が集積しているメリットも生かしていく。昨年11月からスタートしたTIBの役割をNODEと言っています。これは結節点という意味で、いろいろな業種や世代の人たちが集まり、連日、イベントを開催することによって、効果的なつながりが生まれています。今日(取材日は3月7日)も、福井県の地元スタートアップによるピッチイベントがTIBで開催されました。

 今プレオープン中のTIBは、5月にグランドオープンをします。その5月に、国内外のプレイヤーが集まる『SusHi Tech Tokyo 2024』グローバルスタートアッププログラムを開催します。昨年始めたばかりですが、すでにアジアで1、2位を確保できるような勢いになっており、今回は4万人の参加と400ブースの出展を目指しています。これで東京を核とした世界とつながる一つの大きなスタートアップのエコシステムを作っていきます。株価も2月に過去最高値を更新し、今改めて、東京、そして日本が見直され始めている。そういう意味で、東京からスタートアップを強力に発信する。そのために必要なエコシステム、イノベーションを作っていく。なかなか手応えはあると感じています」