目黒区長選に出馬表明の伊藤ゆう氏「いくら予算をつけても区が手を挙げてくれないと何も実現できない。自分でかじ取りをしなければ」

【新企画】SDGs HEADLINE〈シリーズ:未来トーク〉

 2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、目標達成期限の2030年まで折り返し地点を過ぎた。持続可能な未来へ向けた取り組みや、目標達成のヒントとなる話題を各界の著名人とビジネスパーソンが語り合う「シリーズ:未来トーク」。今回は目標4「質の高い教育をみんなに」と目標11「住み続けられるまちづくりを」について。4月21日に投開票される目黒区長選への出馬を表明している都議会議員の伊藤ゆう氏に話を聞いた。

目黒区長選への出馬を表明している都議会議員の伊藤ゆう氏(撮影・上岸卓史)

なぜ区長を目指そうと思ったのか

 まずはそもそもなぜ政治家になろうと思ったのでしょうか?
「私が通っていた中学校はある程度所得の高い富裕層と所得の低い層が混在している学校で、塾に行ける子といけない子で教育の格差がものすごく激しかったんです。それで中学1~2年くらいで“どうせ塾に行けないし”とぐれてしまう子はぐれてしまう。私の場合は親が共働きで一人っ子だったので塾に行かせてもらえました。そして成蹊大学の付属高校に進学したんですが、そこは富裕層が多かったこともあって世界観が全然違うんです。そういったことを目の当たりにして、塾に行ける子と行けない子の社会的な差が激しすぎると思ったのがきっかけでした。なので自分の政治におけるテーマは『塾のない社会』。もちろん塾はずっとあると思うんですが、塾に行かなくても学校の中で本気で努力すれば、希望の進学が遂げられる学校を作りたいということをずっとライフワークとしてやってきました」

 昨年12月に目黒区長選への出馬表明をしました。なぜ区長を目指そうと思ったのでしょうか?
「そういった考えから政治の世界に足を踏み入れ、小池都知事が誕生してすぐに都民ファーストの会の創設メンバーになり、規約づくりからやりましたが、初めて与党のメンバーになって、この7年間はやりたいと思っていた政策を形にすることができるようになりました。その結果、都立高校の中に民間の塾や予備校講師を招いて授業や受験指導を行う『校内予備校』も去年から15校でスタートさせることができました。こういった校内予備校や放課後教室を作る予算というのは、小池知事が誕生した直後に僕が作ったんです。目黒区も手を挙げれば区が1円もお金を出さなくても学校に塾を呼んで来れる。ところが目黒区は何度言っても手を挙げない。学校を使うことになるので当然いろいろな準備が必要にはなりますが、そういうことを言っていては何も進まない。自分がやりたいと思っていろいろな予算をつけてきたんですが、結局、目黒区が手を挙げてくれないと何も実現できない。それで結果的に、自分でかじ取りをしないといけないなと感じまして、今回の出馬表明に至りました」

 教育問題では起業家の「人材バンク」を作って高校で出前授業を行うというプランも提案されています。
「コミュニティスクールについては都内の学校でやっているのは41%。目黒区は10何年か前に2校でやっていたんですが、すぐにやめてしまって今は1校もやっていない。ここでも目黒区はなにもやってくれないので、東京都で直営でやろうと思い『起業家人材バンク』というものを僕が提案しました。これはユーグレナの出雲社長から“99%の高校生が起業家と一度も会ったことがない。でも起業している人の半分は高校時代までに起業家に会ったことがある”という話を聞きまして、そういう機会を作ってあげるべきではないかと思ったんです。ところが学校に企業経営者を集めてきて授業をやらせて子どもたちと結びつけるのは現実的に難しい。だから、まず東京都で100人くらいの起業家母集団を作りました。“交通費しか出ない”と言ってもやってくれる方がたくさんいました。そういう人たちを高校側が手を挙げてくれれば派遣する。いずれ小中学校にも展開しようと思っています。これは総合学習の時間とかにも使いやすいと思うので、これのスポーツ版とか理科の実験版とかがあってもいいと思っています」

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