目黒区長選に出馬表明の伊藤ゆう氏「いくら予算をつけても区が手を挙げてくれないと何も実現できない。自分でかじ取りをしなければ」

(撮影・上岸卓史)

避難所になる小中学校の屋根に太陽光パネルを

 政策の中では避難所の電源ということにも言及されています。
「これについては小池知事が新築住宅への太陽光パネルの設置を義務化する条例を打ち上げています。それはすごく重要なことで“まずは塊より始めよ”だと思うんです。目黒区では区が持っている施設で太陽光パネルがついていないところがたくさんある。特に最たるものは小中学校。あれほど日当たりが良くて、大きな屋根があるところはない。しかも分散配置されている。実は都立高校で、社会的な実験をしてみたところ、30キロワットの太陽光パネルが乗せられることが分かりました。目黒区立の小中学校で太陽光パネルを設置しているのは32校中3校しかありません。それも小さいもの。この全部の体育館の上や校舎の上に乗せていきたいと思っています。これの何がいいかというと、災害が起きた時に小中学校は避難所になるんですが、大停電になった際の非常用電源になります。今はすべての小中学校に冷暖房システムを入れましたので、あとは電源があればいい。蓄電池も入れて太陽光パネルも入れておけばなおいい。そして何がすごいかというと、太陽光パネルを設置する際には国と東京都でその費用の4分の3を出してくれる。30キロワットの設置費用がだいたい1000万円。そうすると750万円を国と東京都が出してくれる。目黒区の負担は250万円だけ。その金額は計算すると2年ぐらいでペイできる。学校でも使うし、余ったら売ればいい。まさに地産地消です。それに、いかに化石燃料を燃やさずに自分たちが使っている電気を賄っていくか。それを学校の中で学ぶと、自分が家を建てる時に“太陽光パネルをつけよう”というように意識が変わってくると思うので、SDGsの観点からもエネルギーの地産地消は大事なことだと思っています。また学校の中にディスプレイを置いて、その日の発電量と使用料を表示して“今日はいくら売れました”と分かるようにするのもいいですよね。みんながもっと節約すれば、作ったエネルギーを分散支給できるということは生きた学習だし、社会貢献にもなります」

 子育て政策についてはどんな具体的なことを考えていますか?
「子どもが生まれたら区外に転出してしまう人たちが多い。それに一番の影響を与えているのは家賃であることは間違いない。ただ家賃補助はなかなか難しい。一方で子どもが生まれた時のサポートが足りているかといえば、メッセージとしても足りていないと思っています。都民ファーストの会が都政でやったことでいうと『赤ちゃんファースト事業』というものがあります。あれは出産費用が都内では平均で60万円を超えている中で、国が出してくれるのが40数万円。足りていないので10万円分カタログを出しました。それでもまだ足りてないんでしょうけど。赤ちゃんが生まれたら一番最初にかかってくるのはおむつ代なので、目黒区では月々2400円分、18カ月、これを区で負担するということをして差し上げたいと思っています。まずこれが1点。あと、僕は就学時に就学祝い金という形の学用品購入費補助を所得制限なしで全員に出したいと思っています。あとはうちの娘とか娘の友達とかに生活実感のある話として聞いたんですが、小中学校の女子のトイレに生理用品を無料で備えつけようと思っています。こういうことを1個1個しっかりと増やしていきたいと思っています」