非常に強い感染力「はしか」はどんな病気? 国内は排除状態も近年ワクチン接種率低下
麻しん感染歴がなく、ワクチン未接種あるいは1回接種のみの人には合計2回の接種を推奨
「麻しん」の検査と診断方法は?
「麻しんの診断は臨床診断と血液検査で行います。感染症法に基づく全数把握疾患に指定され、診断された時点で医師が保健所に届け出ることが義務付けられ、その場合は検体(咽頭ぬぐい液、血液、尿)を採取して遺伝子検査を行います」
「麻しん」の治療方法は?
「特別な治療法はないので症状に応じた対症療法が中心です。発熱には解熱剤、喉の痛みには鎮痛剤、脱水症状には点滴などで対処しながら自然治癒を待ちます。重症化した場合は感染症病棟のある病院に紹介のうえ入院となります」
「麻しん」の予防は?
「麻しんウイルスの直径は100~250nmと小さく、飛沫核の状態でしばらく空気中を漂い、ウイルスを含んだ空気を吸い込むことで感染します。マスクでの予防は困難で、唯一の予防方法として麻しん含有(主にMR=麻しん風しん混合)ワクチンが有効です。第1期(1歳以上2歳未満)、第2期(小学校入学前の1年間)の2回接種を受けることで多くの人が免疫を獲得でき、未接種で感染した人に比べると症状が軽く周りの人への感染力も弱いと言われています。
日本における麻しんワクチンは1966年から開始されています。定期接種となったのは1978年10月からで、当初は12~90か月の間に1回接種でしたが、2006年以降は2回のワクチンが定期接種として導入されました。定期接種となってから麻しん患者は減少しましたが、2006~2007年に10~20代の間で麻しんが流行したことを受け、2008年から5年間の時限措置として中学1年生と高校3年生相当の人に2回目の接種が実施されました」