非常に強い感染力「はしか」はどんな病気? 国内は排除状態も近年ワクチン接種率低下

東京都医師会理事で感染症担当を務める「かずえキッズクリニック」の川上一恵院長

「ワクチン接種が開始される以前は、毎年麻しんの流行が見られたため、現在60歳以上の方の多くは麻しんにかかって抗体を保有しています。50代以下でワクチン未接種あるいは1回接種のみの方は、十分な免疫を持っていない可能性があります。新型コロナウイルスの流行に伴う受診控えで、定期接種の接種率が低下しており、乳幼児でも未接種の人から感染が広がる可能性があります。

 麻しんの流行を防ぐためには、95%以上のワクチン接種率を保つことが望ましいのですが、東京都の第2期の接種率はここ数年95%を下回っています。ワクチン接種歴は母子健康手帳の記録や予防接種済み証の受け取り、自治体の予防接種台帳などで確認できます。抗体価を測定する抗体検査は、かかりつけないし最寄りの医療機関に相談のうえ自己負担でおよそ5000~6000円程度、3~7日間で検査結果が出ます。MRワクチンの任意接種は自己負担でおよそ1万~1万2000円(費用助成のある自治体もある)です。

 乳児期前半は母体からの移行免疫が残っているのですが、なるべくお子さんを連れて人混みに行かないようにしましょう」

「麻しん」の症状が疑われたら?

「患者さんと接触した可能性がある、または麻しんと疑われる症状がある場合は、かかりつけや最寄りの医療機関に事前に電話して麻しんの疑いがあることを伝え、お子さんの場合は小児科、大人の場合は一般内科を受診してください。高齢者の多くは麻しんに感染した経験がありますが、麻しんが怖い病気であることは確かなので、心配な方は抗体検査を行うなどして冷静に対応していただきたいですね」