ドリアン・ロロブリジーダ「我々は慣れていて傷つかないかもしれないが、そこでスマートな対応をしてくれたホテルの株はものすごく上がる」

実体験もまじえて語るドリアン

 続いてのパネルトークにはホールズワース氏、ジョン氏に加え、渋谷にある宿泊施設「all dayplace shibuya」の支配人である飯島亮氏、ドラァグクイーンで歌手、俳優としても活躍するドリアン・ロロブリジーダ、作家・トラベルライター・クリエイターのカラム・マクスウィガン氏が参加した。

 ドリアンは「私にとって旅は心の洗濯。日常の中の些細な彩だったりスパイスだったり、また新たに日常を送っていくための心の栄誉補給というものと認識している。なので、その旅先の体験が栄養補給とは逆の、何かしらの不都合を感じたり、何かしらの悪意にさらされたりということになると旅自体が台無しになるのはもちろん、その先の人生だったり、生活にも暗い影を落としてしまう」と旅についての自身の認識を語ったうえで「LGBTQ+の中でもトランスジェンダーやノンバイナリーの方がさまざまな不都合や不利益を感じているという話だが、私のパートナーはトランスジェンダー男性。特に海外ではパスポートに書かれている性別と見た目が違うということで税関で引っ掛かったりする。国内においてもトランスジェンダーの方が感じる不都合は多種多様。例えばホテルの大浴場は基本的には使わない、もしくは使えない。使えない理由はさまざまだが、せっかくリラックスするためにお風呂に入っているのに、他の人の利用者の目が気になったり、他の利用者のことを考えると心からリラックスできない。なので彼はもう大浴場を使わないのが基本。そういうときにどうするかというと家族風呂や貸し切り風呂があるところのみを探している。温泉に行く際も家族風呂があるかないかだけで、ある当事者にとってはその宿を選ぶか選ばないかの理由になるということは、もしかしたら宿側の皆さんはご存じなかったことかなと思っている。些細なことではあるが、遠慮ではなく配慮みたいなものがそこかしこで感じられるだけで、ある当事者にとってはその旅先での体験が素晴らしいものになるか悲しいものになるか変わってくると思うので、このTravel Proudでさまざまなことを、最初は知っていただくことが大切だと思う。そこから学んでいただき、そこからご自身の宿泊施設ではどういったことが実際に可能なのかみたいなことを考える、最初のきっかけがTravel Proudだと思うので、ぜひ活用していただきたいと個人的に思っている」などと実体験をもとにTravel Proudへの期待を口にした。