ペットのがん「早期発見」につながる毎日のチェック方法は?
④ 健康診断やがん検査
「一番はやはり、普段から定期的な健康診断を受けることです。健康診断では基本的に、まず血液で全体をチェックします。内臓系は、赤血球、白血球や血小板の数値に異常が出ることが多い。ただ人と違って腫瘍マーカーはありません。あとはレントゲンで肺に腫瘍が隠れていないか、超音波でお腹の中に腫瘍がないかをチェックします。8歳を過ぎたら、1年に1回は健康診断を受けたほうがいいと思います。血液検査だけだと1万円内、超音波とレントゲンまですると全部で2万円ほどかと思います。他にも近年では、自宅で尿を採取して調べられる犬や猫用の線虫がん検査などもありますし、そういった検査の結果も病院での診断と照らし合わせて、より注意深い観察につながればいいと思います。いずれにせよ、症状が無くても日常的に注意を忘れない意識を持つことが必要だと思います」
やはり早期発見が肝心ということ。アニコム損害保険株式会社による調査では犬用の線虫がん検査「N-NOSE わんちゃん」利用後に実際に腫瘍治療を行ったかを調べたところ、低リスク判定の犬に比べ、高リスク判定の犬のがん発見率が約13倍という結果が出ており(アニコム損保調べ。2023年6月中旬~9月)、さまざまな角度から注意を高め、定期的な健康診断や日常的なチェックを心がける必要性を改めて感じる。
「そうですね。定期的に健康診断をしているという方はまだ少ないのでは。うちの病院でも1割ほどくらいですね。でも進行する前に発見できれば治療の選択肢も広がりますし動物への負担もより少なくて済みます。どんな動物でも病気でも、もっと早くに病院に来てくれれば…と思うことは本当に多いです。とくにリンパ腫のような血液系のがんは、病院の健康診断でも症状が出ていない状態だと診断を下すのが難しいほどで、家庭で早期発見するのは難しい。動物は言葉が話せませんから、こちらが気づいてあげないといけません。ちょっと変かなと思っても2~3日、様子を見てしまうということもけっこうあると思うのですが、動物にとっては意外とその2~3日が命取りになったりすることもある。いつもと違うなと思ったら、高齢の場合はとくに、いつもより早く病院に行ってもらったほうがいいと思います」
近年は犬や猫用の線虫がん検査も登場。自宅で採取した尿を送って診断する(写真提供:HIROTSUバイオサイエンス「N-NOSE わんちゃん」)