世田谷美術館で「民藝 MINGEI」展 柳宗悦「生活展」から “これからの民藝スタイル” まで

第Ⅱ章「暮らしのなかの民藝」より江戸時代、18-19世紀の《剣酢漿草大紋山道文様被衣》

 会場は3章に分けて構成し、第I章「1941年生活展―柳宗悦によるライフスタイル提案」は、1941年(昭和16年)に柳が日本民藝館で開催した「生活展」の展示空間を再現したもの。モデルルームのような展示は当時は珍しく画期的だったといい、濱田庄司の《藍鉄絵紅茶器》など、実際に柳の自宅で使われていた品も展示されている。当時は展示品のチェアに座ることもできたという。

 第Ⅱ章「暮らしのなかの民藝―美しいデザイン」は、柳らが集めた民藝の品々を「衣・食・住」に分類。「衣」エリアの《剣酢漿草(けんかたばみ)大紋山道文様被衣(かつぎ)》は、苧麻(ちょま)地に草花の刺しゅうを施した古い衣類を染め直し、被衣に仕立てた再生衣料。後身頃の白抜き部分にあえて鮮やかな花の刺しゅうを残すなど、細やかな手仕事をぜひ間近で見てほしい。「食」エリアには生活用品や台所用品、食器などを集め、「住」エリアでは初展示となる照明器具などにも注目だ。

1940年頃、羽前庄内(山形)の《刺子足袋》