能登半島地震から半年、液状化被害の内灘町は今「これだけ放置されたら感覚が麻痺してくる」

能登半島地震から半年後の様子を語る津幡高義さん

 現在は盛んに復興が叫ばれているが、現実として生活を再建するまでには至っていない。

「幸い実家と倉庫の地震保険が下り、友人や知人たちが直接見舞金を送ってくれたので、それを頼りに生活していますが、母親の口座に義援金は1円も入ってきません。石川県が公表した復興プランの “トキが舞う能登の実現” には、ショックを通り越して笑ってしまいました(笑)。それよりも仮設トイレの水やトイレットペーパー、消臭剤、便座用消毒液をしっかり補充してほしい。これだけ放置されていたら感覚が麻痺してきますよね。韓国ドラマ『イカゲーム』のようなサバイバルゲーム感覚で、最後に残った人だけに納得する計画を示すのではないでしょうか(笑)」

 最後に、もしも地震がくると分かっていたら今なら何を備えるかを聞いた。

「心の準備は間違いないですけど簡易トイレと保存食品、携帯用ポータブルバッテリー。今の被災生活で助かっているのは地震保険で、築54年の古い建物にずっと保険料を払ってきて本当に良かったと思いました。あとは行政の力にはそんなに頼れないことが分かったし、何かあった時に相談できる、助けてと言える人間関係を持っているかどうか。家族間の良い関係も災害時の備えになります。能登で避難所に残っている人は孤立した高齢者が多いのですが、自分もこれから高齢者になっていく。人に頼れない、家族に頼れない、そんな年の取り方はしないように今から備えないといけないなと思っています」

(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)