DOBERMAN INFINITY「音楽やってる人生、今このメンバーでやれてることが楽しい」 結成10周年の今、思いを綴った「1st SONG」
ーー<リリックにしたい内容も変わってきた>って、P-CHOさんのバースにもありますけど、視野というか視点が変わってきたってことですか?
P-CHO:自分の場合は、ラップ始めて25年が経って、自分が生きてきたなかで経験したことや感情、リアルなもののほうが、人に勇気を与えるのかなって感覚があります。気づくの遅いわ!って。それを落とし込んだのが「1st SONG」でもあって。テーマのもとで、なりきって書くことも好きなんですけど、曲によってはよりさらけ出したほうが自分も乗るし。フィクション的なドラマであっても、自分たちの経験を踏まえてドラマにできる部分もあるのかなって。そういう書き方もしていると思います。
ーーリリックにしたい内容もそうですが、10年やってきた中で、ここが変わった、成熟したって感じるところはありますか?
SWAY:今、CHOさんが話してたことは、すごい共感できます。昔と今、10年前と今で考えると、自分が最高の題材というような感覚になれてきた。リスナーの方が日本のヒップホップを音楽だけじゃなく、ラッパーのパーソナルを知って聴くみたいなのが当たり前になってきたんで、やりやすくなってきたところはあるのかもしれません。だから、自分の人生に遊びがあるともっと音楽も弾むのかなと思って……音楽のために遊んでるみたいなとこも若干あるかもしれない。前までは遊ぶことが大好きで、ずっと遊んでたんですけど、最近は遊びに行かなきゃっていう感じがあるかもしれない。曲書くし、遊びに行こうかなみたいな。
GS:僕はそうだな、一言でいうなら、大人になったなっていう感じですね。ヒップホップが好きで四半世紀やってきましたけど、今思えば、やっぱり最初は……ファッションでした。ただこうやって25年やってきた中で、ヒップホップの捉え方や消化の仕方は完全にファッションではなく生き方っていう感覚になって、モノの見方は変わりました。
INFINITYになったころ僕は34ぐらいで、クラブに行っても僕らがある意味メインストリームというところにいたと思いますけど、世代が変わってヒップホップも変化しています。ヒップホップって、それぞれの生き方、“らしさ”で、それぞれのヒップホップがあると思うんです。ヒップホップ、ロックでも何でもいいんですけど、見え方とかスタイルとかだけじゃなく、それを自分らしく表現できてる人がヒップホップだなって思うようになった。
真正面からしか見られなかったものを斜めとか後ろ側からも見られるようになって、年輪というか経験値も積み重ねた上で、感受性が逆に豊かになってきてる。それが深みに変わっている。その深みを自分なりにどう表現していくかってことが、僕のこれからのヒップホップのテーマなんかなって思ってます。
KUBO-C:固執してたものは取れたかなって思うよね。それによって、今まで狭かった視野が広くはなったなと思う。だけどまあ本質は変わらないけど(笑)。
P-CHO:結成した時よりも川の流れが穏やかになった気はする。でも、この流れが続くほうがいいなって。10年やれたから、もう10年いけるんちゃうかって思ってる自分がいる。
ーーKAZUKIさんはどうですか?
KAZUKI:僕は、一番変わったのは味覚です。食べるものに気を使うようになった。当初、すごいジャンクなものを食べてたんですけど、ちゃんと自炊するようになって、風邪とかひきづらくなりましたね。昔は本番前に結構やらかすことが多かった。歌だから繊細に出ちゃうんですよ。それで塩分に気を使ったり、化学調味料を取らないとか。
GS:ツアーに加湿器を持ち歩くようになったよね。昔はホテルで借りてたけど。
KAZUKI:加湿器の台数は 6 台ぐらい増えたかもしれないです、10年で。
ーーアーティストとしての自覚が備わったと。それならば、リバイバルライブも安心ですね。
KAZUKI:私生活もリバイバルしちゃうかもしれないですけど。
KUBO-C:あの時の歌を戻すとか? (笑)
ーーそのリバイバルライブですが、このインタビューが公開されるころはおそらく半分日程が終わるぐらいかなと。
P-CHO:6公演あって、前半3公演と後半3公演のセットが違うんですよ。年代別になってて。
ーーそうなると、前半はかなりタフなセットリストになりそうな……。
GS:前半は結構勢いある曲が多かったんですよね、ロック調な曲だったり。後半になると、いい感じのミドルのバラードが増えてきて。演出的にも前半は結構ハードなガチャガチャ系で行って、後半は結構ゆるい感じで進んでいくと思います。
ーーファンの方の反応が楽しみです。
(TOKYO HEADLINE・酒井紫野)