都知事選と密接に関わる都議会議員の補選が28日に告示。子育て、女性活躍、介護について都民ファ特別顧問・荒木ちはる氏に聞く

(撮影・蔦野裕)

 だからみんな東京に集まってしまう?
「全部、国に先駆けている。018も所得制限をやめたのも最初。赤ちゃんファースト事業は東京都で始めたら国も一緒にやらせてくださいと言ってきた。最初は10万円でやっていたんですが、15万円になった。岸田さんは偉くて、厚労省から“東京都の仕組みをまねさせてください”という連絡があった。これはすごい。それって本当は42万円しか出さない出産一時金をプラスしたかったんです。今、東京の病院は家賃も高いし、人件費も高くて病院経営は大変で、東京では赤ちゃんを1人産むのに約100万円かかる。でも国は42万円しかくれない。その42万円じゃ東京では産めない。私が20代30代だったら躊躇する。そういうときのために小池さんに“出産一時金を上げるような取り組みをしてください”と言ったら、まず国に要望してくれた。でも上がらなかったので“では10万円分のクーポンを配りましょう”というのが赤ちゃんファースト事業。そうすると国が出産一時金を42万から50万円に上げてくれた。プラス国が5万円プラスしてくれたことで、10万円と15万円で25万円、知事が赤ちゃんファースト事業をやったことで効果があったことになります」

 介護のほうはいかがでしょう?
「東京都では2年前から介護従事者たちの家賃を約7万円くらい補助しています。介護従事者の方々が防災、避難所とかの協力をしてくれたり、防災訓練などに参加してくれたら家賃補助をする。8分の7を東京都、8分の1を施設が持つ。私が介護従事者で15万円の家賃の所に住んでいたら、東京都が7万1000円、事業者が1万円を払ってくれるというシステム。これは賃金をアップしたのと同じじゃないですか。これについては岸田さんは“介護従事者の処遇を改善しないと介護士がいなくなる”とずっと前からいろいろな所を回りながら言っていたんですが、何もしていない。この家賃支援に加え、小池知事は今年度の令和6年度予算では介護従事者のほぼ全員に約1万~2万円の月額手当を出すことにした。それも0~5年の若い人の離職率が高いのでその人たちに2万円、それより上の人に1万円。ここで大事なのが、ケアマネジャーさんというのがいて。ケアマネジャーというのは、介護が必要になった時にケアプランを書く人。まず、この人がケアプランを書いて区に出さないと、そもそも介護サービスが受けられない。このケアマネジャーや介護職の人たちが給料も低いし、世間的な地位も向上しなくてばかばかしいとどんどんやめている。こういう話をすると“なんで介護の人たちだけにあげるんだ”と言う人もいるんですが、介護従事者の人たちは資格を取った、介護のプロフェッショナルなんです。例えば介護が必要な人が70kgくらいあったら絶対にお風呂になんて入れられない。40kgくらいでも素人はいれられないそうです。あの人たちはプロだからできる。そういう人たちが介護職をばかばかしいと思ってやめてしまい、別の仕事に転職してしまったら二度と戻ってこない。いなくなった時には国や都はものすごい予算を使って戻さないといけなくなる。そういうことをする前に手当をしておくべき。以前、私は“大雨が降る前に傘をさすのが政治家の役割”と言ったことがあるんですが、介護人材がいなくなって、介護サービスが受けられなくなる前に手を打って、そういう人たちが離職しないようにするのが大事。“ちゃんと雨が降る前に傘させよ、おい岸田!”って(笑)。だって自分で大雨が降るって言って、車座で施設を回っているんですから。それなのになんでなにもやらないの?って」

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