性的場面撮影の配慮不備で物議『先生の白い嘘』主演・奈緒、三木監督、製作委員会、原作者が舞台挨拶でそれぞれの思い語る

何度も深く頭を下げる三木監督

【原作者・鳥飼茜氏は「自分は無責任すぎたのかもしれない」】

 この日は、原作者・鳥飼茜氏からのコメントも届いた。鳥飼氏は「漫画が映像化することは基本的には光栄なことだ。それでも自分は自分の作品に無責任すぎたのかもしれない。(中略)こんな原作がなんぼのもんじゃと言われるかもしれないが、なんぼのもんじゃと私だけは言ってはいけなかったと思う。(中略)もっともっと共通確認を取りながら繊細に進めなくてはいけない、そういう原作だった」という悔恨を綴った、昨年の時点で執筆したものの公開しなかったという所信を明かした。

 さらに今回の問題に「こういう場合、皆一様に、言葉には気を付けなければならなかった、コメントに配慮が足りなかった…と反省されます。ただ私が感じる問題は、最初から信念を強く持ち合わせていなかったことではないでしょうか」としつつ、製作の過程で共通認識を持つよう「映画製作側へ都度都度、働きかけることを私が途中であきらめてしまったことを猛省したのは、主演の奈緒さんの態度に心を打たれたからです。個人的な感想ですが、この映画製作において一番強かったのは奈緒さんです。彼女はこの騒動において誰よりも先駆けて私に謝罪されました。現場で一番厳しい場面と、誠実に対応した奈緒さんが、です。(中略)謝罪なんて必要ないのにと心から申し訳なく思いました」と奈緒の姿勢と演技に感嘆。

 その言葉に聞き入っていた奈緒も「ありがとうございます」と頭を下げ、三木監督も「今後、映画人としてしっかり精進してまいりたいと思います」。

 猪狩蒼弥も「いろんなことがありましたが、この作品が公開されたということが心からうれしいです」、三吉彩花は「奈緒ちゃんが座長で本当に良かった。どうか温かい言葉を彼女に向けてあげられたら」、風間俊介も「役者として正しくありたいと思った奈緒さんのもと、皆がその信念を共有して作ることができた」と気持ちを一つに。

 最後に、奈緒は原作にほれ込み自身で出演を決めたと言い「そのなかでいろいろなやり取りがありすれ違いがあったことも事実です。でも私は、権力に屈することなく、対等な関係で監督ともお話しましたし、言いたいことは伝えました。伝えたうえで、現場に対して不十分だと思う部分は正直ありました」と明かしつつ「私自身ももっとちゃんとコミュニケーションをとり、公開にあたって、どう皆さんを傷つけないよう真意を伝えられるか、宣伝の部分できちんとお話できていなかったことが、皆さんを不安にする結果を招いてしまったと、自分自身のこととして深く反省しています」と言い、まっすぐに顔を上げて再度「私は大丈夫です」。

 最後に「自分の誠意を脅かすようなことがあればまずは自分の気持ちを守ってください」と語り掛けた奈緒に、会場からも大きな拍手が沸き起こっていた。

『先生の白い嘘』は公開中。