THE RAMPAGE 浦川翔平が「1年越しで刺身包丁をおろすの儀」〈BUZZらないとイヤー! 第79 回〉


「まだ使えないのかぁ」って表情の翔平さん


「では、その包丁を使うために、あらじこみをしていきましょう。僕の出刃包丁をお貸しするんで……」と小林さん。どうやら「翔平、1年越しで包丁をおろすの儀」は簡単には進まないよう。刺身包丁の登場はまだのようです。「“あらじこみ”って何をするんですか?」と翔平さんは“翔平”包丁をそっとサイドに移動させます。

「あらじこみ」は、お寿司屋さんで使われる専門用語のひとつで、魚などの材料を使える状態まで処理することです。泳いでいたままの姿から鱗や内臓を取り除いて頭を落とし、二枚おろしや三枚おろしの状態にします。

 まずは、なじみのある魚で「あらじこみ」していくことに。トライするのは、この日の朝、豊洲市場で購入してきたアジです。「でかい! めちゃ立派なアジですね。まるっとしてて、太ってるなあ」と、翔平さん。


それ、釣った人の持ち方……

 アジは、島根県の浜田港で揚がるブランドアジ「どんちっちアジ」。旬は4~9月。脂肪含有量が高いのが特徴で、一般のアジが4.5%程度なのに対して、10%超。時には15%を超えることもあるんだそうです。

 手順は、体の両サイドの真ん中を尾からひれの部分へ真っすぐ走る「ぜいご」という部分から始めて、鱗をとっていきます。そして頭を落とし、内臓を取り出し、血合いを流水で洗い流しながら取って、氷をいれた塩水につける。ここまでが第1段階です。


「ぜいご」を取っていきます

 小林さんに説明やアドバイスをしてもらいながら、いつもの3倍ぐらいゆっくりのスピードでお手本を見せてもらいます。翔平さんはその鮮やかな手つきを穴が開くほど見つめながら、「こういう感じか……」と空っぽの手を動かしてみます。

 きれいになったアジが一尾塩水に浸かったところで、翔平さんは、まな板をきれいにふくと、「……さて、やりますか!」。まるまるとしたアジを置いて、尾の付け根のところに包丁の刃を当て、包丁を上下に動かして取り除いていくのですが、「結構、力がいりますね。全然包丁が進んでいきません」と翔平さん。包丁が入っているポイントに視線を落としたり、ぜいごをそっと持ち上げて、動かない理由を探ります。どうやら刃が身の部分まで入っているようです。「これムズ……削れてしまった」と残念そうな表情です。

「赤くならないように、でも削らないように。残らないように、ぜいごだけを取る」のがポイントですが、翔平さんの包丁はガチッとロックされてしまった状況。

「アジが大きいから、ぜいごも大きくて難しいのかもね。下に入ってしまったら少しずつ戻していくしかないんですが……戻しすぎると切れちゃってやりにくくもなるけど、今は、ぜいごをしっかり取っていこう! お腹のあたりまでいくと薄くなるのでやりやすいと思いますよ」


真剣すぎて言葉をかけにくいレベル

 几帳面なところを発揮して修正し、片面のぜいごをきれいに取り終えると、フウッと深く息を吐き、優しく触って手袋越しに感触を確かめます。「全然違う!」と笑顔です。

 魚をひっくり返して、同じ要領で、反対側のぜいごを取ります。「力を入れすぎると身がつぶれてしまう」「包丁はちょっと上に抜ける感じを意識」といった小林さんにアドバイスをもらいながら、包丁を上下に動かしていきます。2回目とあって包丁の動きも先ほどと比べると快調。「良さゲッティ!!」と先ほどかかった時間の半分以下で完了しました。