米宇宙開発最大のミステリーに迫るラブコメ(!?)映画『フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン』がひたすらオシャレだった!!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 あまりの暑さにあまり出歩いていません。ということでnoteばかり書いていますので、ぜひ皆さん御覧ください。

 しばらく忙しくなりそうなのですが、noteは書き続けると思うので、ご期待ください。

 いや、何言ってんだか。

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 わざわざ「この感覚は、間違っていないだろうか」と“お洒落”を辞書で引いてしまうほど、オシャレな映画でした。
 オシャレは、要約すると「気が利いている」とか「心をくすぐる」とか、そういう意味を孕んでいるそうで、まさにその通り!

 ストーリーの軸となるのは「アポロ11号の月面着陸映像は真実だったのか?」とロケットの発射責任者で生真面目な主人公と、PRを担当する胡散臭いヒロインのほろ苦いラブロマンス。登場人物のファッションやヘアー、カット割りや画角、ストーリーの構成や台詞回し。全部、死ぬほど気が利いていて心がくすぐられました。

 台詞回しについては「会話を文章で理解したときのシャレ感」と、言う俳優の、間やトーン、端から端まで“おしゃん”でした。冒頭のナレーションで「ほぼね」って、台詞があるのですが、もうこれが文脈も言い方もタイミングも完璧で、なんならテーマを最大限に表していて、開始1分もせずに、「あ、これは面白いヤツだ」と、筆者はこの作品を信用しました。
だいたい最初の2分ぐらいで、面白いかどうかわかりますよね。

 始まってから驚いたのが、音楽の多さ。ほとんどのシーン何かしらの音楽が流れていたのではないでしょうか? “BGM”と書かずに“音楽”と書くのは、60年代後半が舞台なのですが、ダイナーのシーンだったりパーティだったりカーラジオから流れてくる“実際にその場で流れている音楽”としてのオールディーズから、登場人物の心理を表す、いわゆるBGMまで、全曲「そこまで主張するか」というぐらい調和していて、まるで組曲のようで、これまたお洒落。ピンチの時ほど、それっぽいBGMじゃなくて、陽気なオールディズ流したりさ!

 演出の面でいうと、全体的に神がかっていたのですが、特筆するとすれば「タイムラプス的シーン」と「側転」。

「タイムラプス的シーン」は「時間を飛ばす演出方法」とでもいうんでしょうか? ロケットの開発シーンで、主人公たちは現実的な速度で横スクロールする画面をただ、左から右へ歩いていくだけなのですが、その背景は早送りで、様々な人物が行き来し、どんどんロケットが完成していく。

 勿論音楽も良いし、ストーリーのメインから外れた、細かい技術的な話を掘り下げず、楽しんでいたらいつの間にか完成していて、メインのストーリーに戻っていく。実に気が利いている!

「側転」は、横に回るアレです。寂しげなビーチで、主人公とヒロインが、並んで座って語り合うシーンでのことなんですが、ここまではテンプレとも言える描写なので、画が思い浮かべやすいと思うのですが、本当に画面の端っこ、その2人の背後、ずいぶん遠くに1人だけ、水着で側転している女の子が配置されているんですよね。なにかの比喩なのか、なんなのか、全然わかんなかったのですが、明らかにあの子が画を締めている。実に、心くすぐられる!

 そんな「オシャレ」に溢れた今作なのですが、ストーリーの鍵を握るのが「黒猫」。もう、この時点でオシャレエエェェェェェェエエエ!!
 2カットぐらいしか出てこないワニすらお洒落に見えてきます。

 もちろんラストも、ものごっそいオシャレ。

 徹頭徹尾「オシャレ」を貫いてくれる、最高のエンターテイメント。是非劇場で御覧下さい!

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