THE RAMPAGE 浦川翔平のマイ刺身包丁、常磐もののヒラメでデビュー〈BUZZらないとイヤー! 第80回〉

 


やっぱり、釣った人……

「ヤバい!すげー!でかい!」。常磐ものの立派すぎるヒラメに、翔平さんはシンプルな言葉を重ねて驚きます。「半端ない。こんなのが海底で待ってたら怖い。70センチぐらいあるかなあ。さっきのアジも大きかったけど重さが…。あれ? また釣ったみたいになっている?」と笑います。

 ヒラメもまた“あらじこみ”の作業からスタートですが、「せっかく翔平さんの柳(包丁)があるので、難易度は上がるんですけど、“すき引き”で鱗をとる作業をやろうと思います」と小林さん。アジとは方法が少し違うようです。 
※柳包丁は刺身包丁の種類のひとつ

「ヒラメの鱗を取るには金たわしで擦る方法もあるんですが、それだとどうしても魚の身に負担がかかってしまうので、こちらのほうがより丁寧な仕事」と、小林さん。


「鮮魚街で育ったんでヒラメをしめてるのとかよく見てて!」と前のめりな翔平さん

 作業をしやすくするためにまずは頭と尾を落とします。包丁を入れ、中骨に達したら骨を断つのですが、「相当固い…めっちゃ固い。骨も太い!」と翔平さんは苦戦気味。なかなか簡単にはいきません。

 押さないで包丁を動かすという小林さんのアドバイスを聞きながら手を動かし、どうにか頭を落とします。そのまま、横に引くと気持ちがいいほど内臓がスルスルッと出てきました。「これは肝? すごくきれいですね」大事なのは苦玉(胆のう)を傷つけないようにすること。割れると身に色がついてしまうだけでなく、苦くなってしまいます。

 翔平さんは、ヒラメの空っぽになったお腹を、アジと同じように、水で流しながらきれいにしていきます。大きな血合いに手間取っていると、小林さんが翔平さんの手元を覗きこみ「そのくらいでいいでしょう。そのまま寝かしたりすると臭みになってしまうから取ったほうがいいけど、今日はすぐにおろしていくから」


ザクザクといい音。ヒレを落とすタイミングは本格的におろす作業を始める前といったところ

 翔平さんは、まな板の上をサッと片づけてスペースを確保すると背ビレと身のギリギリのところにハサミを入れて、背ビレをハサミでザクザクと切り落としていきます。背ビレやエラ、尾が付いたままだと作業がしにくいからなんだそうです。

「ヒレが……すごい」とザクザク。この背ビレがついている部分がエンガワで、背びれを支えている筋肉です。「……だからバキバキでおいしいんだ」と翔平さん。


包丁の角度がポイントです

 まずは小林さんがお手本を見せてくれます。刺身包丁を持つと、アジのぜいごを取った時と似た位置に刃を当てて上下に動かしていきます。「皮だけ、薄く。これがきれいに取れていくとヌメヌメした部分がなくなるので扱いやすくなります……ただ、このヒラメ、身が締まってるからちょっと難しいかもなあ」。小林さんはあっという間に片面の鱗を取り終え、「……はい、こんな感じです。では、やってみましょうか、翔平さんの柳で。細かい皮をひいたりするときにはこっちのほうが使いやすいです。これができたらどこでも行けますよ」と、ヒラメをひっくり返してバトンタッチです。