〈インタビュー〉片寄涼太が“アーティスト 片寄涼太”に歌わせたかった曲 最新シングルでGENERATIONSとは別の顔

 

見た景色、感じたこと、感動をどうしたら言葉や音楽で表せるか

ーー夏っぽかったり、爽やかでもあったり、ハッピー感もあったり、キュンとしたり……いろんな感情がふわっと沸きあがってくる曲。打ち合わせでのリクエストは、どういった言葉や表現でアイデアを伝えられたんですか?

片寄涼太:ちょっと嫌なこととか悲しいことがあっても、そういったものを洗い流してくれたりとか、なんか心を晴れやかにしてくれるようなポジティブなメッセージを込めた楽曲にしたいということ。

 誰かを励ましたり、ポジティブになれるメッセージを込めたいという気持ちって常にあるんですよ。思いっきり元気出せよっていうのはGENERATIONSでできるかなって思うので、ソロでは寄り添ったりとか、同じ目線に立ってみたりとか、違う角度や表現で誰かに優しく届けられるような曲とか、そういうメッセージは自分の中にも多いなって気がします。

 楽曲の方向性自体は、2000年代のJ-POPというか、すごくポップスでありながら、ダンサブルまでは行かないけど、リズムビートがちゃんとあって、サウンド的にも軽やかにさせてくれるような楽曲にしたいというところをお伝えしました。これまでも、いろんな方との楽曲制作をしてきたなかで、eillさんとだったら、こういう方向性がいいかなって。天気が気になる朝に聞いてもらって、背中を押すような1曲に仕上がったかなと思います。

ーーこういう曲を作りたいというアイデアの種みたいなものはどんなところから生まれたのですか?

片寄涼太:この曲に限らずなんですけど、自分の中でこういう景色を描きたいとか、そういったところからスタートすることが多いと思います。自分が見た景色とか、感じたこと、感動をどうしたら言葉とか音楽で表せるだろうって。

ーービジュアル、絵や写真みたいなものが頭に浮かぶ?

片寄涼太:それをもとに楽曲にしていくみたいなところはあるかも。

ーー「tenkiame」にもそういう絵があったんですね。

片寄涼太:ありましたね。写真というか、リアルな感じです。言葉で説明するのが難しいけれど……ポイントに着目するイメージなんですよ。あるポイントがあって、そこから紐づけていくと、天気雨はハプニング的にも取れるし、虹を予感させるような瞬間でもある、とか。雨が降ると空気中の汚れが落ちてすごい澄んだりとかあるじゃないですか。それがパーソナルになることもあるし、もっと抽象的になることもある。今回は、抽象的な感じです。それと……この曲は自分の中にあったいくつかのテーマのうちのひとつです、気まぐれさとか。

ーー片寄さんの頭の中を少し覗けたような気がします。具体的にどのように制作を進めていったのか教えてください。

片寄涼太:今回のレコーディングは新鮮でした。ボーカルアレンジとかコーラスとかそういったものがあんまり見えてない状況のまま迎えて、実態が見えたのはレコーディングから。eillさんがレコーディングに来てくださるということもあって、そこで直接やり取りしながらコーラスを積んでいったりして、徐々に実態が見えてきました。レコーディングが終わるまで作品が見えなかったのは初めての経験で、すごく楽しかったし、すごく面白かった。刺激でしかないです。

ーーその“初めて”を面白い!と感じられたって、いい現場だった証拠ですね。

片寄涼太:いろんなやり方があるなと思います。GENERATIONSの楽曲は、レコーディングの際にはしっかりと出来上がっていて、自分はそれに乗っかって表現していくことが多いので……すごく刺激的でした。他にもいろんなやり方ってあると思うんですよ、自分が知っていて手を付けていないもの、知らないものも含めて。ソロなら、そういったことに挑戦していける、いろいろ試せるんじゃないかなって思っています。eillさんとの制作は、そういった意欲が増す機会になりました。