黒谷友香×北区・やまだ加奈子区長スペシャル対談「子どもの幸せを北区から作っていきたい」
大人の感覚で条例を作らない──4月1日に施行された「子ども条例」
やまだ加奈子区長(以下、やまだ)「東京都北区区長のやまだ加奈子です。本日は俳優の黒谷友香さんに来ていただき、本当に感激しています!」
黒谷友香氏(以下、黒谷)「こちらこそ! 実は以前、北区つかこうへい劇団の舞台に出演していたことがあり、私も稽古で利用させていただいた滝野川会館を、区がバックアップしてくださっていたことも知っています。ですから、北区は私にとってゆかりのある場所なんです」
やまだ「ありがとうございます。今日は北区の中学生も一緒に参加してくれています」
黒谷「早速お話をお伺いしていきたいのですが、北区では今年から子どもの権利を広める取り組みが本格的にスタートしたと伺いました。その原点となるのが『北区子どもの権利と幸せに関する条例』ということですが、まずはこの条例についてお聞かせいただけますか?」
やまだ「はい。今、ご紹介いただきました『東京都北区子どもの権利と幸せに関する条例』、通称『子ども条例』は今年4月1日に施行した北区独自の条例です。
今年は我が国が『児童の権利に関する条約』を批准してから、ちょうど 30周年にあたる節目の年です。将来、日本を背負う子どもたちの権利を守り、幸せに暮らすための取り組みを北区から作っていこうということで、このたびの制定に至りました」
子ども条例は『子どもにとって最善の利益を第一』とし、『だれ一人取り残すことなく権利を保障する』とともに『社会全体で子どもを育む』という考え方のもとで、子どもたちの権利を位置づけており、その権利を最優先に守るための取り組みと体制構築を推進しています」
黒谷「どれも素敵な考えです。一方で子どもの権利を守るためには、子どもの主体性を尊重することが不可欠かと思います。その辺りはどのように考えていらっしゃるのでしょうか?」
やまだ「まさにその通りで、どうしても条例というと大人の都合ですべてを決めようとしがちです。しかし、我々が制定した『子ども条例』は、子どもの権利を広く知ってもらうこと、子どもたちの意見を大人や行政がしっかり聞くこと、そしてその意見を行政の取り組みとして反映させていくこと、この3つを掲げて実際にアンケートや小・中学生・高校生からの意見を取り入れ、守られるべき11の権利を定めています」
黒谷「11もですか! 子どもたちからは実際どのような声が寄せられたのでしょうか」
やまだ「11の権利のうち、ゆったりと安心できる場所で休めること、プライバシーが大事にされること、遊ぶことの3つに関するものが多かったです」
黒谷「特に “プライバシーが大事にされること” には、今の時代が反映されていますよね。私が子どもの時には自分の権利について考えたこともなかったです。みんなで川の字で寝て、プライバシーといえばせいぜいふすま一枚という時代が昭和だった気がします(笑)」
やまだ「昔とは価値観も変わっていますので、そうした昭和世代の我々大人の感覚だけで条例を作らず、今を生きる子どもたちの感覚で作るのが大切だと思います」