舞台『そのいのち』で主演を務める宮沢りえ「健常者と障がい者ってなんなのか。その言葉自体に疑問がわいている」
今回の作品への思いを口にする宮沢
宮沢は「私は役者さんである佐藤二朗さんのお芝居がとっても好きで、映画も映画館に行って、本当にお芝居に感動することが多くて二朗さんのファンなんです。その二朗さんが12年ぶりに書かれたという台本が家に届いたときに、まず心がワクワクしたというか“二朗さんがどんな本を書いたんだろう”って思って読み始めて、最初は会話のテンポもよくユーモアもあったりしたんですが、途中、鳥肌が立つシーンがあり、その瞬間に“このお芝居をやりたい”と思いました。稽古もとても大変だと思うが、その大変なことを乗り越えたいと思うような戯曲でした」と出演を決めた理由を明かした。
また佐藤は戯曲を読んだ宮沢からの「そそられます」という言葉を聞いたときに「この俳優は信用できるなと思いました」とも語った。
相馬花役は佳山明と上甲にかのWキャスト。佳山は脳性まひの後遺症がありながら、上甲は筋ジストロフィーという難病と闘いながら女優として活躍。ともに車いすのハンディキャッパーなのだが、この2人を起用した理由について佐藤は「最初は先天的な脳性まひがある車いすの若い女性の花の役を健常者の女優さんにお願いしようと思っていました。映像でも大変だけど舞台は、いわゆる障がいのある方に出ていただくのはさらにハードルが高いのは承知の上。さっき針の話をしましたが、僕にとって“負”を力に変えることが生きることというか。自分自身ではどうしようもない負が目の前にあったときに、それを生きる燃料にするというか、命を燃やす燃料にする、ということを祈るような気持ちで信じている。障がいのある2人をキャスティングして、その負が力になるところをこの目で見たかった」とその意図を語った。