9月3日は「秋の睡眠の日」小林弘幸教授「ストレス社会の現代は眠る直前まで交感神経優位」

自律神経研究の第一人者で順天堂大学医学部の小林弘幸教授(写真:蔦野裕)

健康の原点は運動・食事・睡眠

 良質な睡眠は心と体、美容にどのような影響を及ぼすのか。

小林「良質な睡眠が取れると、自律神経やホルモンのバランスが安定してくるので、全身の血流や血液の質が良くなります。血流や血液の質が上がれば当然心や体、美容にも良い影響を及ぼしますよね。一例を挙げると、腸内環境が整うので幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンやセロトニンを分泌する神経細胞が活性化します。全身は血流でコントロールされているので、肌の再生や修復、髪の成長も早くなります。反対に不眠が続くと脳梗塞や心筋梗塞、免疫力が低下するのでがんや感染症のリスクも高まります。

 健康の原点は、細胞の一つひとつにどれだけ質のいい血液を流すことができるか。そのためには運動・食事・睡眠が三種の神器です。これらがどんな役割を果たしているのかというと、自律神経を整えて血流をコントロールしています。運動・食事・睡眠はつながっていて、良質な睡眠を取るには運動とバランスの取れた食事も重要です」

 睡眠の質を良くするために心がけておきたいポイントは?

小林「朝食をしっかり食べる、就寝の3時間前には食事を済ませる、1時間前にはケータイやスマホを見ない、入浴するなど生活のリズムを整えることが大切です。食事したりブルーライトを浴びたりすると、交感神経が優位になるので入眠が難しくなります。深部体温が下がると眠りに入りやすいので、入浴して深部体温を上げておくのもおすすめです。ストレス社会の現代は、眠る直前まで交感神経が優位なので音楽を聞く、アロマを使うなどリラックスして副交感神経を優位にするといいでしょう」