“農耕民族”手塚裕之が“戦闘民族”トンガのイシ・フィティケフと対戦。タイトル戦アピールへ「判定でもいい。勝ちに徹する」

「ONE 168: Denver」(9月6日=日本時間7日、米コロラド州デンバー/Ball Arena)に出場する手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)の試合を前にしたコメントが大会を配信するU-NEXTを通じて届いた。“ジャパニーズ・ビースト”の異名を持つ手塚は現在、ONEで5連勝中。アメリカでの大会には初出場となる。ここ3戦はタイのルンピニースタジアムのリングを舞台に戦ってきたが、今回は慣れ親しんだケージでの試合。タイトルショットを目指すうえでの負けられない一戦となる今回、ニュージーランドで生まれ、オーストラリアで育ったトンガ人であるイシ・フィティケフ(オーストラリア/トンガ)と対戦する。

手塚裕之(©U-NEXT)
 今回ファイトウィークよりも1週間早く現地入りしたのは、アメリカでの試合ということでアジャストメントの時間に余裕を持ったのですか?
「そうですね。時差と高地対策です。前戦までタイだったのでちょっと違うので早めに入っておこうかと1週間近く早めに入りました。ただ、別に時差も関係なく1日目から過ごせちゃってて(笑)。高度とかもあんまりよく分からないです、体感なので、別に疲れる時は疲れるしな、みたいな」
 
 息が上がるような感じもなく?
「すごい追い込むような練習はしていないので分からないのですけど、なんとなく“あんまり変わらないな”という。一応、栃木の地元でも、高度が同じような、1600mくらいある所を見つけて週に1回ほど走りこみをしていたので、それもあるかもしれないです」
 
 早く現地に入った分の時間はどのような過ごし方ですか。 
「スパーリングや激しい追い込みは日本で終えてきて、こちらで調整という感じで、打ち込み中心で練習している感じです。Pound 4 Pound ムエタイ(以下P4P)というジムで練習しています。ここにはUFCファイターも何人もいますが、前回コロラド合宿に来たとき、平良達郎君に紹介してもらって、そこのコーチと一緒に練習をしていきます。クレムというP4Pのムエタイのコーチが、すごく良くしてくれて。パーソナルトレーニングのような感じで面倒を見てくださったんです。その時こちらは謝礼を払いたいと伝えたのですけど“そういうのじゃないから”という感じで(受け取ってもらえず)“My Pleasureだから”と。“こっちがもてなすのが好きなんだ”という感じで返されて。戦略面でも相手をめちゃくちゃ細かく分析したデータをメールで送ってくれたりと、自分が帰国してからも気にしてくれていました。それで、今回は試合前にお世話になるのでさすがにお金を払わせてほしいと言ったのに断られてしまって(笑)。ジムのオーナーにも、コーチが受け取ってくれないから渡してほしいと言っても“(平良)達郎も、君も、謙虚で、ファイターとして持っている資質が素晴らしいから”って。“ウェルカムなんだよ”と言ってくださって。結局支払えず、逆にTシャツをもらってくるという(笑)」
 
 コーチたちにしてみれば「勝利」の二文字こそが最高の報酬ということなのでしょうか。そういう支えが増えたことが、モチベーションにつながっていますか。
「“これに勝ってタイトル戦だな!”とか“チャンピオンになれよ!”と言ってくれるので、そこで返したいというのはありますね。もともと総合格闘技を始めたのもアメリカだし、お世話になったコーチもいて。教えを取り入れるか入れないかは自分自身の問題ですけど、自分としてはいい出会いをしてきて今の自分がいるので、この試合に向けてもいい出会いができたのではないかなと思っています」
 
 先ほどおっしゃった分析データを受け取った印象はいかがでしたか。ご自身の考えや対策とフィットしましたか?
「僕自身があまり詳しく研究して見るタイプじゃないので“こんなところまで見てくれているんだ”という感じで“へー”って。相手のクセを何個か挙げてくれて、そこにこう攻めてこうして、というようなパターンをいくつか作ってくれた上で、でも実際はファイトだから、何が起こるか分からないから、それも頭に入れたうえで戦っていこうということも言ってくれて、助けになりました」
 
 通常は相手を想定した対策練習はあまりしないということですか。
「あんまりやらないですね。ミットで、相手の得意なパンチや入り方に合わせたカウンターの練習をする程度ですかね。あとは寝技だったら相手の得意な形にならないために、まず相手の得意なポジションから練習を始めるというくらいです」
 
 基本的には、自分がやりたいことを押し付けるような試合をしたいというような感じなのでしょうか。
「そうですね。自分のやりたいことをやれば勝てると信じているので。相手に合わせすぎることは固定観念を持ちすぎることになるので、それはよくない。だからいつもはサラっと見て“こんな感じか”とつかんで、あとは野性の勘ですね」
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