【9月は認知症月間】2025年、東京の認知症高齢者は54万人へ 都医師会「“シン後期高齢者” の声で医療介護は変わる」【前編】
毎年、9月21日は認知症への理解を深める「世界アルツハイマーデー」。この日を中心に9月を「世界アルツハイマー月間」と定めてさまざまな取り組みが行われている。
日本では今年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下、認知症基本法)」において、9月が「認知症月間」、9月21日が「認知症の日」と定められた。認知症施策を国・地方が一体となって講じていくことになったが、東京都の認知症高齢者を取り巻く環境はどうなっていくのか。公益社団法人東京都医師会副会長を務める「ひらかわクリニック」(八王子市)の平川博之院長に聞いた。(全2回のうち第1回/後編に続く)
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そもそも認知症とはどのような状態のことを表しているのか。
平川博之(以下、平川)「認知症とは、いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、社会生活に支障をきたすようになった状態を言います。画像検査、心理検査、問診、日常生活の状況などを総合的にみて診断します。認知症の原因となる疾患にはアルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などさまざまな種類があります」
今年1月に施行された認知症基本法とはどのようなものか。
平川「認知症基本法とは、認知症の人を含めた国民一人ひとりがその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)の実現の推進を目的として施行されました。
振り返ると1997年に高齢者の介護を支える介護保険法が公布され、2000年4月には介護保険制度がスタートしました。介護は家庭内で解決すべきものから、外部の介護サービスで対応できる仕組みができました。いわゆる “介護の社会化” です。その流れの中で注目を浴びることが少なかった、あるいは意図的に触れられずにきた認知症に対する人々の意識が高まってきたのだと思います」