パリパラリンピック『生きていくこと』【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

(L-R) Gabriel Geraldo dos Santos Araujo (BRA), Alberto Caroly Abarza Diaz (CHI), Vladimir Danilenko (NPA)
Ayoub Adouich (MAR),
(L-R) Mirko Testa (ITA), Richard Espinoza Balza (VEN)
小田凱人/Tokito Oda (JPN)
真夏のパリで開催されたオリンピック(7月26日から8月11日)の撮影を終え、日本に一旦帰国した私は
その12日後、再びパリの地を訪れた。
今度はパラリンピック(8月28日から9月8日)を撮影するからだ。
わずか2週間ほどのインターバルであったが、パリの朝と夜は肌寒く、日没時刻も目に見えて早まるなど
秋の気配をはっきりと感じることができた。
 
しかし、競技会場は相変わらずの熱気に包まれていた。
会場を埋め尽くす地元フランスの熱狂的な観客。
沸き起こる大歓声やウェーブ。
オリンピックの感動が再び蘇ってきた。
 
一方、フォトグラファーの撮影環境には、少し変化が見られた。
オリンピックと比べて取材するフォトグラファーの数が減少したのだ。
そのため、フォトグラファー同士の熾烈なフォトポジション争いなど、オリンピックでの余計な労力や
ストレスが解消され、より撮影に没頭できる環境に改善されたのだ。
それゆえ私自身、シャッターを切りながらも、ファインダー越しのアスリートに感情移入し
思わず涙してしまう場面が幾度もあった。
“生きていくこと”とは、どういうことなのだろうか。
苦難を乗り越えながら、懸命に、そして力強く生きるアスリートたちの姿を目の当たりにして
私は自分の心が洗われていくような気持がした。
 
オリンピックとパラリンピック、合わせて5週間にわたる撮影を終えた私は
かなりの肉体的な疲労を蓄積しつつも、清々しい気持ちで帰国の途に就いた。
 
 
■カメラマンプロフィール
撮影:西村尚己
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも
どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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