【9月は認知症月間】2025年、東京の認知症高齢者は54万人へ 都医師会「“シン後期高齢者” の声で医療介護は変わる」【後編】

昨年12月に発売されたアルツハイマー病の原因物質を取り除く治療薬「レカネマブ」(提供:Eisai/ロイター/アフロ)

 昨年12月に認知症抗体医薬「レカネカブ」が国内で販売開始され、今年8月に厚生労働省の専門部会で「ドナネマブ」の製造販売が承認されたが、どのようなものか。

平川「レカネマブは米バイオジェン社と日本のエーザイが共同開発、ドナネマブは米イーライリリー社が開発したアルツハイマー病の新しい治療薬です。脳内のアミロイド斑を除去して認知機能の低下を抑制する効果や、副作用のARIA(アミロイド関連虚血性神経症状)の発症率で両者に大きな違いはないとされています。

 投与対象はアルツハイマー病によるMCI(軽度認知障害)もしくは軽度認知症の人です。アミロイド斑の蓄積がない人や中等度以上に進行した人は対象になりません。投与の可否判断のためにはアミロイドPET検査または脳脊髄液検査などが必須条件となり、重篤な副作用報告もあるため、投与できる医療機関の要件も厳しくされています。新薬といっても従来薬同様、認知症の進行そのものを止める効果はありませんし、重篤な副作用への配慮や年間約300万円とも言われる薬価を考えるとしばらくは慎重な対応が必要かと思います」