【9月は認知症月間】2025年、東京の認知症高齢者は54万人へ 都医師会「“シン後期高齢者” の声で医療介護は変わる」【後編】

千代田区神田駿河台の東京都医師会館

 今後の超高齢化社会に向けての展望を教えてください。

平川「そもそも認知症は長寿社会の証しでもあります。今後も超高齢化が進展する日本では、認知症の人がいるのが当たり前の世界になっていくのです。認知症の人を排除するのではなく、尊厳を持って共生する社会を目指すのが認知症基本法だと思います。認知の人が暮らしやすい社会は誰にとっても暮らしやすい社会です。

 これから先はビートルズやレッド・ツェッペリンを聴いて、ツイッギーのミニスカート姿に憧れていた団塊の世代(1947〜1949年生まれ)が後期高齢者になります。私は “シン後期高齢者” と呼んでいますが、彼らは厳しい競争社会を生き抜いた強者ですから、従来の折り紙を折って童謡を歌い、入浴や食事介助を提供するといったステレオタイプな介護サービスには満足せず、個別性やエビデンスのあるケアを求めてくると推測しています。 彼らが “認知症のどこが悪い” “余計な手出しは無用” などさまざまな声を上げていけば、医療介護の在り方や提供体制も変わるのではないか……不安もありますがそこに期待しています」

(TOKYO HEADLINE・後藤花絵)

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