「品川区はSDGs未来都市!」小学生が“持続可能な未来の品川”を白熱議論  ジャーナリスト堀潤氏に“取材”する姿も

撮影・蔦野裕

 第二部ではいよいよ各グループがアイデアをプレゼン。発表の場は、区議会議員たちが会議を行う議場。自分の名前の氏名標が立てられた議席に、子どもたちも“会議”気分が盛り上がった様子。
 
 発表では「ポイ捨てを減らすためゴミを楽しく捨てられるようにする」「社会貢献が広がるように」など、さまざまなアイデアが飛び出した。

「思いやりが大事」と言うBグループが「思いやりが挨拶やゴミ拾いなどすべてにつながっていくと考えました。品川区にはたくさんの良い人がいて、その人たちの良い行動を増やしていきたい。そのために明日からできることとして、地域の人たちに声がけしたり、友達に一緒に遊ぼうと声がけをしていきます」と発表すると、議場の子どもたちからも「思いやりって大事だと思いました」と温かい声がけ。その後も、子どもたちからは活発に他のグループの発表に質問や感想が次々と上がる。

「皆がつながって信頼し、それぞれの価値観を認め合う品川」をイメージしたDグループは“信頼の木”から“友情”や“尊重”の実がなるイラストとともに発表。議場の子どもたちからは「絶対に仲良くなれない人がいたらどうしますか」と鋭い質問があがり「一旦、距離を置いて、また仲良くなれる工夫を考える」という回答に会場からも拍手。

「デバイスを使って世界の人とつながること」を提案したFグループは「品川区の子どもたちは1人1台デバイスをもらっているので、介護施設や戦場の人ともつながれば世界の課題や未来のことを自分事として考えられるようになると思う」と発表。グループ内の話し合いの時間で、世界各地を取材する堀氏にもインタビューをしたと明かすと会場の大人たちからも感嘆の声。「戦場の人もデバイスを持っているそうです。課題は電波が入りづらかったりすることだそうです」と報告し「デバイスを通して現状や苦しみを話してほしい。そういう人たちのために私たちがどのようなことができるか知りたいです」とFグループの子どもたち。議場からも「戦場の人と話すのをそこの政府が許してくれるか」「言葉の違いはどうするか」と声が上がり、質疑も白熱。

 審査員を務めたのは品川区の森澤恭子区長、品川区議会の渡辺ゆういち議長、あくつ広王副議長、品川区教育委員の稲垣百合恵氏、一般財団法人ピースコミュニケーション財団 代表理事の一木広治氏、HI合同会社代表の平原依文氏。審査員による審査と参加した子どもたちの投票を経て最優秀賞に輝いたのは「思いやりを広げるアイデア」を発表したBグループ。

 内閣府選定の2024年度「SDGs未来都市」であり、その中でも特に先導的な取り組みを行う「自治体SDGsモデル事業」にも選定された品川区。森澤区長は「素晴らしいアイデアばかりでした。世界の人たちにも思いを巡らせてくれて、本当に心強く感じました。皆さんのアイデアが未来の品川を作っていきます。これからも気づいたことを教えてほしい」と、当事者意識を持って未来の街の姿を考えた子どもたちをたたえた。

 この日は、審査員を務めた平原依文氏による講演も実施。平原氏は「一つのことに対して複数の視点を持つことが大事」と自身の海外経験を振り返りつつ、戦後と復興した街の写真を並べ「戦後の人たちもどうしたら安心安全に暮らせるか考えて街を作ってくれたはず。皆さんも今日考えたアイデアを未来のために行動に移していきましょう」とエールを贈った。

 最優秀賞グループは、2025年3月に都内で開催される「第5回国連を支える世界こども未来会議」と同年8月に大阪・関西万博で開催される「国連を支える世界こども未来会議 FUTURE SUMMIT みらい総会」へ参加する。

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